2022 Fiscal Year Annual Research Report
Agreement in Norwegian: A corpus study
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22J23323
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
谷川 みずき 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2026-03-31
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Keywords | 言語学 / ゲルマン諸語 / ノルウェー語 / 一致現象 / コーパス言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではノルウェー語の一致現象の全体像を量的・実証的に解明する。ノルウェー語では、本来義務的であるはずの一致が選択的に起こり、世界の言語の中でも稀なパターンをみせる。理論言語学などの分野で研究の蓄積はあるが、この現象を包括的・量的に捉えた研究が不足している。そこで本研究は、選択的一致をみせるノルウェー語の三つの代表的な構文における一致の (a) 頻度 (b) 機能 (c) 分布を解明することを目指す。調査方法としては、コーパス調査と聞き取り調査を組み合わせ、経験的かつ実証的なデータ収集を行う。
令和4年度は、準備期間とし、以下の概要で研究をおこなった。(A) ノルウェー語の一致現象や文法性と重要な関連のある体言化現象について基礎文献を調査した。より具体的には、柴谷方良先生の体言化理論を中心に、理論言語学、記述言語学、言語類型論の観点から様々な文献を検討した。さらに、ノルウェー語の一致現象や文法性を体言化理論の観点から捉え直すことの可能性や意義について考察した。 (B) ノルウェー語の一致現象の理解に欠かすことができない移動表現、特に直示を含む移動表現について実験を行い、その成果を日本言語学会第164回大会で口頭発表した。現在それに基づく論文を執筆中である。(C) 同じく移動現象について海外出版社から出版予定の論文集 Motion Event Descriptions from a Cross-Linguistic Perspectiveに論文を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出産による研究中断のため4月から8月までの短い期間であったために本年度中に予定していた全ての計画が実施できたわけではないが、概ね研究計画は予定通りに進捗している。
進捗状況は以下の通りである。 (A) ノルウェー語の一致現象や文法性と重要な関連のある体言化現象について基礎文献を調査した。より具体的には、柴谷方良先生の体言化理論を中心に、理論言語学、記述言語学、言語類型論の観点から様々な文献を検討した。 (B) ノルウェー語の一致現象の理解に欠かすことができない移動表現、特に直示を含む移動表現について実験を行い、その成果を日本言語学会第164回大会で「ノルウェー語で komme 「来る」はいつ使われるのか:. ビデオ実験による分析」というタイトルで口頭発表した。現在それに基づく論文を執筆中である。 (C) 同じく移動現象について海外出版社から出版予定の論文集 Motion Event Descriptions from a Cross-Linguistic Perspectiveにゲルマン諸語の移動表現を比較した論文 (タイトル: "Motion Event Descriptions in English, German, and Norwegian") を完成させた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023 年度にノルウェー語の一致現象については本格的にデータの統計分析を行い、学会発表も行う。2024 年度に は、研究成果を学会で発表し論文を執筆して発信する。学会発表は、CxGN などの北ゲルマン語の国際学会の他に 日本言語学会やヨーロッパ言語学会などでも発表してフィード バックを得る。論文は国際学術 雑 誌 Nordic Journal of Linguistics に投稿する。
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