2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J40028
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
伊藤 海 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 真無盲腸類 / 鼻甲介 / 鼻構造 / 軟骨頭蓋 |
Outline of Annual Research Achievements |
真無盲腸類(モグラ科、トガリネズミ科、ハリネズミ科、ソレノイド科)を研究対象とし、真無盲腸類内の鼻構造の硬組織・軟組織の三次元構造を明らかにした。真無盲腸類の標本は、国立科学博物館、鶴見大学、愛知学院大学に所蔵されている胎子・幼体・成体標本を用いた。鼻構造の三次元モデル化の手法は、標本を造影剤染色後、μCTスキャンを行い、ソフトウェアAmiraを用いて行った。その結果、種ごとに複雑化の程度が異なる鼻構造の同定をすることができ、相同性を明らかにすることができた。また、近年明らかになった真無盲腸類の分子系統関係と鼻構造を比較した結果、真無盲腸類内での鼻構造の変化が明らかになった。トガリネズミ科では篩骨甲介IIの背側に形成される隆起が消失していた。上顎甲介の進化には2つのシナリオが考えられた。1)モグラ科とトガリネズミ科で独立して上顎甲介が縮小化した。2)真無盲腸類の共通祖先で上顎甲介の縮小化し、その後、ソレノイド科、ハリネズミ科、トガリネズミ科の共通祖先で再度、上顎甲介が巨大化した。これらの結果は、国際誌(vertebrate zoology)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本を造影剤染色後、μCTスキャンを行い三次元モデル化することによって、真無盲腸類を構成するモグラ科、トガリネズミ科、ハリネズミ科、ソレノイド科の鼻のボディープランを解明できた。また、22年度の研究で用いた三次元モデル化の手法が、鼻構造の硬組織と軟組織を詳細に観察するのに有効であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
真無盲腸類の外群である奇蹄類(ウマ)、偶蹄類(イノシシ)、食肉類(イエネコ)、鱗甲類(ミミセンザンコウ)、翼手類(ルーセットオオコウモリ)の鼻構造の硬組織と軟組織の発生を三次元形態学的に明らかにし、これらのグループから構成されるローラシア獣類の鼻のボディープランを解明する。
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