2022 Fiscal Year Annual Research Report
前内側視床による前帯状皮質記憶固定化制御を規定する新規回路の同定・動態計測・操作
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22J40046
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井ノ口 霞 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 記憶固定化 / 薬理遺伝学 / 光シート型顕微鏡 / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬で形成された記憶は、数週間から数ヶ月かけて徐々に大脳皮質に移行し長期保存される。これまでの損傷実験や薬理学的抑制実験により前帯状皮質が遠隔記憶の想起に必要であることがわかっている。しかし、この記憶の再固定化の仕組みはまだ十分に解明されておらず、海馬から皮質への直接の投射があるかについても意見が分かれている。今年度は海馬体から皮質への回路を網羅的に調べるために逆行性アデノ随伴ウイルスと全脳透明化技術、光シート型顕微鏡を組み合わせることで高速・高解像度イメージングを行なった。さらに狂犬病ウイルスを用いたトランスシナプス標識法により、皮質と海馬体をつなぐ神経回路網を可視化することができた。上記の実験で明らかになった回路に関し、遺伝薬理学的手法を用いて学習過程の時期特異的な回路抑制実験を行ない、記憶固定化に関与する回路の検証を行なった。その結果、記憶獲得時の前帯状皮質への特定の神経活動入力が記憶固定化に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は記憶固定化回路を調べるために海馬体と皮質をつなぐ神経回路網を全脳で解析し、複数の候補回路を明らかにした。さらに記憶獲得時の前帯状皮質への特定の神経活動入力が記憶固定化に寄与していることが示唆され、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は前述した回路の神経活動が記憶痕跡細胞にどのような影響を与えるかを検証していく。
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