2022 Fiscal Year Annual Research Report
プルキンエ細胞と登上線維のタイムラプス観察によるシナプス刈り込み機構の解明
Project/Area Number |
20J21223
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
越膳 真弓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2024-03-31
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Keywords | シナプス刈り込み / 小脳 / 登上線維 / プルキンエ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の脳が発達していく過程において、いったん多数形成したシナプスのうち不要なものを削除して必要な物だけを残していく「シナプス刈り込み」が重要であることが知られている。小脳プルキンエ細胞-登上線維シナプスはシナプス刈り込みの代表的なモデルである。生後間もない哺乳類の小脳プルキンエ細胞は複数の登上線維からの入力を受けているが、発達に伴って入力の弱い登上線維が刈り込みされ、最終的に一本の登上線維からのみ入力を受けるようになる。 このメカニズムの解明のため、我々は神経細胞に活動電位を発生させるために必要なカルシウムイオンの細胞内濃度変化をコントロールする遺伝子Yに着目した。この遺伝子Yは全身で欠損させると致死的となるため、小脳プルキンエ細胞特異的に遺伝子Yを欠損させたトランスジェニックマウスを作成した。 このマウスの小脳プルキンエ細胞-登上線維シナプスに注目して、一つのプルキンエ細胞に入力する登上線維の本数の経時的な変化を観察し、遺伝子Yがシナプス刈り込みに与える影響について検討している。 これまで主に研究手法として用いてきたin vivoカルシウムイメージングに加え、昨年度からは小脳スライスを用いた電気生理学的手法を併用している。今後は各発達段階における小脳スライスに対し電気生理学的手法を用いて、登上線維からプルキンエ細胞への入力の頻度や強度がシナプス刈り込みに及ぼす影響について、より多角的な検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間内にCOVID-19による入構制限・研究活動の制限があったこと、一身上の都合による休学期間があったことから、当初の予定よりも計画の進行は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
もともと当研究は、細胞内カルシウム濃度に応じて蛍光を発する遺伝子Xをレンチウイルスベクターによって小脳プルキンエ細胞に組み込んだマウスを作成し、in vivoカルシウムイメージングでプルキンエ細胞・登上線維の神経活動を経時的に観察することを計画していた。しかし遺伝子発現範囲の制御が困難であったことから、神経細胞に活動電位を発生させるために必要なカルシウムイオンの細胞内濃度変化をコントロールする遺伝子Yを小脳特異的に欠損させたトランスジェニックマウスを用いるように計画を変更した。 現在は小脳特異的遺伝子Y欠損マウスに対してin vivoカルシウムイメージングを行うとともに、小脳スライスを用いた電気生理学的手法も併用して実験を行っている。今後は電気生理学的手法を主に用いて、各発達段階の小脳スライスにおける、登上線維からプルキンエ細胞への入力の頻度や強度と登上線維の本数(シナプス刈り込みの進行度合い)のデータを蓄積していく。
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