2023 Fiscal Year Research-status Report
マルチマテリアル積層造形法による3次元物性カスタム化技術の確立と顎義歯への応用
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22KJ1199
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加嶋 祐佳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 顎義歯 / 3Dプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではデジタル技術を用いた顎義歯製作プロセスの最適化を目指し、インクジェット型3Dプリンターを用いた義歯床と人工歯の異種材料間の接着強度やインクジェット粉末材料の吸水性等を評価する実験を実施した。ISO 規格 19736 に準じたせん断接着試験用に設計したデジタルデータを用いて人工歯と義歯床を一体で製作した。ストラタシス社製インクジェット3Dプリンターを用いて、人工歯部と義歯床部を同時造形した。また、対照群として通法通り埋没、填入、じゅごうして製作した試料を用意した。製作した試料のうち半分は5℃と55℃のサーマルサイクルを10000回負荷した。続いてせん断試験に供した。サーマルサイクル前は、既存手法と比較して低い接着強度を示したものの、サーマルサイクル後はデジタル技術を用いた方が従来法より有意に高い接着強さを示した。破壊様相は、デジタル技術を用いた手法では凝集破壊および混合破壊が認められ、対照群は全て混合破壊であった。これらの結果より、インクジェット型3Dプリンターを使用し、一体型造形で製作した人工歯と義歯床は従来法より高い接着強度を示し、顎義歯の高機能化に寄与する手法であることが示唆された。しかしながら、吸水性の評価結果では、デジタル技術群では対照群より有意に悪い結果となったため、今後粉末の改良が必要であることが示唆された。そこで歯科補綴に適した生体親和性と強度を有する国内未承認の粉末を用い、顎義歯の製作に成功している。今後どう粉末性状を評価していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産休育休後でライフスタイルの変化はあったが、アメリカ国内のストラタシス社との交渉など積極的に取り組み新規材料の評価や顎義歯造形に取り組めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後新規粉末材料での顎義歯製作や基本物性評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
産休育休を取得し、実験ができない期間があったため。
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