2022 Fiscal Year Annual Research Report
フェロセンの環回転を利用した新規生体機能性分子の創製
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22J23216
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
落合 幸太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | フェロセン / 核内受容体 / ケミカルスペース / ビタミンD受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
回転型と架橋型の二種類のフェロセン含有ビタミンD受容体(VDR)リガンドの結合親和性を評価することで、フェロセンの回転自由度が受容体との相互作用に優位に働くかを検証する。その目的のため、VDRリガンドの重要ファーマコフォアである側鎖とA環をフェロセンで連結した回転型と架橋型のフェロセン含有VDRリガンドを設計した。設計した架橋型フェロセン含有VDRリガンドの創製に必要な鍵中間体であるハロゲン化ansa-フェロセンの合成に成功した。また、A環および側鎖のフラグメント合成も達成しており、それぞれのフラグメントを結合させることで、いくつかの回転型および架橋型VDRリガンドの創製を達成した。 もう一つの試みとして、フェロセンの構造多様性を利用することによって受容体の選択性を向上させる新規リガンド設計戦略の提案を行った。これまでに高いアンドロゲン受容体(AR)アンタゴニスト活性を示すフェロセン誘導体の創製を行ってきた。一方で、プロゲステロン受容体(PR)との交差活性が確認されており、医薬品として展開する上で、受容体間の選択性を向上させる必要がある。そこで、フェロセンの構造展開の多様性に着目し、二置換フェロセン誘導体の構造活性相関を行った。その結果、リガンド結合ドメインの相同性が高く交差活性が確認されるARとPRに対して、PR選択性を向上させたリガンドの創製に成功した。ARおよびPRアンタゴニスト活性は、それぞれのリガンド依存性細胞を用いて、その表現型を評価することで、活性の強弱を確認した。また、結合親和性は蛍光リガンドを用いて競合実験を行い、その蛍光偏向を評価することで決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェロセンの環回転を議論する上で重要な鍵中間体であるハロゲン化ansa-フェロセン誘導体の合成を達成している。また、そのほかのフラグメント合成も確立しており、既に数種類のフェロセン含有VDRリガンドの創製を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したフェロセン誘導体の生物活性評価、結合親和性を評価する。いくつかの評価をした後に、ビタミンD受容体との共結晶構造を作成し、X線構造解析によって詳細な結合形式を明らかにする。 また、交差活性が見られるような受容体に対して、フェロセンを導入することで受容体選択性を向上させる。この系には、アンドロゲン受容体とプロゲステロン受容体を用いて、受容体選択性の有無を確認する。
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