2020 Fiscal Year Annual Research Report
Action research for revitalizing endangered languages
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20J40023
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
横山 晶子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-07-01 – 2024-03-31
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Keywords | 危機言語 / 言語記述 / 言語復興 / 方言 / 琉球諸語 / 沖永良部 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 方言教材の制作と地域での活用 沖永良部語を体系的に学べる教材『0から学べる島むに読本』を制作し、希望者100名に配布した。同教材は、公民館講座、小学校での方言教育時間等で利用され、2022年度には出版も予定されている。 (2) 市民科学者の育成 2020年度より月に1回、知名町公民館講座で方言教室を実施し、地域で言語を記録する人、言語を教える人の育成を行っている。毎回10~20名ほどの参加があり、参加者自身が方言調査を実施し、データを収集する活動をしている。本講座で得られたデータは、「しまむに宝箱」http://erabumuni.comのデータベースや、教材に反映している。また、こうした活動の成果については2022年3月のNINJALチュートリアルで報告した。 (3) 日本諸方言の語彙の比較研究 沖永良部方言をはじめとした日本諸方言の動物語彙・稲作語彙を、アジア・アフリカ諸言語の中で比較する言語地理学の共同研究(Studies in Asian and African Geolinguistics)に参画し、2021年9月、2022年3月に国際研究会での発表を行った。9月の発表会ではコーディネータを務め、編者の一員として報告書出版の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、沖永良部語の継承に向けて、言語資料の整備を目標の1つに掲げていた。これまでの文法記述研究を元に、一般向けの体系的な言語教材を刊行し、地域でも利用されていること。既に出版の計画があり、言語資料が持続的に供給可能になったことは、当初の予定を上回る進展であると考える。 また、地域言語の研究、国内諸方言の比較研究を越えて、日本諸方言の言語データを諸外国の言語と比較する機会を得たことは、今後の研究の発展・飛躍を期待できるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、沖永良部語の継承に向けて、(1)言語資料の整備をすること、(2)市民科学者を育成すること、(3)危機言語継承を能動的に考えるカードゲームを作成することを、目標に掲げていた。(1) に関して、これまでの文法記述研究を元に、一般向けの体系的な言語教材を刊行し、地域でも利用され始めていること、(2) に関して、公民館講座が2年間続き、自ら調査が出来る市民科学者が育成されていることは、当初の予定を上回る進展であると考える。また、地域言語の研究、国内諸方言の比較研究を越えて、日本諸方言の言語データを諸外国の言語と比較する機会を得たことは、今後の研究の発展・飛躍を期待できるものである。
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