2023 Fiscal Year Annual Research Report
組織浸透性評価手法の確立による高機能かつ低副作用な二重特異性がん治療抗体の開発
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22KJ1241
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
前島 敦 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 組織浸透性 / 二重特異性抗体 / MMP認識配列 / 低分子量化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん細胞とT細胞に結合するFc融合二重特異性抗体で懸念される組織浸透性の低さの改善した、腫瘍特異的に組織浸透性が向上する二重特異性抗体の開発を目指した。がん細胞とT細胞を標的とする二重特異性抗体Ex3にがんで亢進するプロテアーゼであるMMPの認識配列を介してFc領域を融合した。これにより、がん近傍でMMPによる切断を受けることで、低分子量化による浸透性の向上が期待される。 まずin vitroでの組織浸透性の評価手法を確立した。がん細胞株、抗体濃度、抗体インキュベート時間を検討したところ、高分子量型と低分子量型の抗体の浸透性の違いを評価できる実験条件を特定した。よって、in vitroでの組織浸透性の評価手法を確立に成功した。続いて、ヒンジ領域にMMP認識配列を有するFc融合型Ex3を設計した。結合能およびがん細胞傷害活性を評価したところ、MMP認識配列の挿入がEx3の結合能およびがん細胞傷害活性に影響を与えないことが示された。また、設計したヒンジ領域にMMP認識配列を有するFc融合型Ex3はMMP認識配列を切断することにより低分子量化することが確認され、さらに浸透性を評価したところ低分子量化することにより、組織浸透性が向上することが確認できた。よって、本分子設計が腫瘍特異的な浸透性の向上を達成できることが示唆された。さらに本設計は、がんで亢進するMMPにより抗体が高機能化する設計であり、固形がんを標的とした抗体医薬においては、抗体の種類によらず汎用的に用いることができる技術である。 よって、本来の目的として掲げた、in vitro腫瘍モデルの作製、および抗体の組織浸透性の評価手法の確立を達成した。
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