2022 Fiscal Year Annual Research Report
多段階成長因子徐放により組織再生を促すダブルネットワーク超分子ペプチドゲルの開発
Project/Area Number |
22J22214
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
矢口 敦也 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | ペプチド / 自己集合性 / ヒドロゲル / 高次構造 / 組織再生 / ダブルネットワーク / セルフソーティング / 構造可変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が進み医療費の増大が深刻化する日本において、医療技術の進展は急務である。特に、自己再生しない脳などの組織再生を実現することは、患者の後遺症を低減しQOLの保持に繋がる。本研究では、細胞の分化や生存、増殖に関与する細胞外マトリクスの持つ多段階的な成長因子徐放機能に着目した。感染性夾雑物のリスクや動物個体差のない人工の細胞外マトリクスとして、生体親和性や生分解性に優れた低分子ペプチドに注目した。本研究は、多段階的な成長因子徐放機能を再現する、ダブルネットワーク超分子ペプチドゲルの開発を目的とする。本研究課題の初年度である2022年度は、基盤となるダブルネットワーク超分子ペプチドゲルの開発を行った。 候補となる新規自己集合性ペプチドを複数種開発し、それらがいずれも生理的条件下でゲル形成することを確認した。また、開発ペプチドのヒドロゲルについて、電子顕微鏡観察および分光分析、構造解析を行った。それらの結果に基づき、候補ペプチドの中からダブルネットワーク形成に適した2種のペプチドを選出した。さらには、選択した2種ペプチドを混合した際、分光学的手法からそれらが独立して集積しダブルネットワークを構築したことが示唆された。加えて、候補ペプチドについて生体親和性や生分解性を評価し、組織再生実現に向けた生物学的評価を進めている。 これらの成果を基に、2022年度は、学術雑誌での解説、8件の学会発表(3件受賞、1件国際学会発表、1件招待講演)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2022年度は、本研究の基盤となるダブルネットワーク超分子ペプチドゲルの開発を計画していた。これまでに、二種の新規自己集合性ペプチドを混合し、ダブルネットワーク形成に成功したことを示唆するデータが得られている。さらに、組織再生応用に向け、実験系の立ち上げを進めている。したがって、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2023年度は、開発したダブルネットワーク超分子ペプチドゲルの機能応用を目指す計画である。
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