2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1263
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井上 翔太 神奈川大学, 工学部, 特任助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | Riemannゼータ関数 / L関数 / 零点分布 / 極限定理 / 値分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、昨年度までに行った研究に関する論文執筆、それと並行してRiemannゼータ関数の並行移動についての確率論的性質およびRiemannゼータ関数の零点分布の研究を進めた。 Riemannゼータ関数の並行移動についての研究は、虚部方向への複数の並行移動を行い、それぞれの並行移動を施した関数たちの同時分布を考え、その漸近挙動を考察した。Riemannゼータ関数の虚部方向についての挙動は、Lindelof予想を背景として重要な研究対象であり、素数分布、零点分布と深い関係性がある。前述の同時分布は、小さい虚部の情報が、大きな虚部の情報をもつかを調べる研究であり、Lindelof予想の研究に新しい知見を与えるものである。本研究は現状では今後の方針の原案を作成しており、その原案を基に共同研究者のPankowski氏と議論を進めている状況である。 Riemannゼータ関数の零点分布については、昨年度に申請者が構築した零点分布を調べる手法を用いることで、研究を進めた。申請者はRiemannゼータ関数の偏角の値分布が、零点の分布に応用できることを明らかにし、30年以上不明だったSelbergが指摘した零点の間隔についての主張に証明を与えた。そして本年度ではRiemannゼータ関数の偏角の値分布の研究を進めることで、零点分布の研究を行った。具体的には、Tsangの偏角の極値評価をSoundararajanのresonance methodを用いることで改良し、ConreyとTuenage-Butterbaughによる零点のrギャップの結果を一部改良することに成功した。さらにこの手法を精密化することで、零点の間隔の現状の世界記録である、BuiとMilinovich、Preobrazhenskiiらの結果を改良し論文を完成させる予定である。
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