2021 Fiscal Year Annual Research Report
最先端プラズマが切り拓く半導体-金属錯体ハイブリッド人工光合成系の高機能化
Project/Area Number |
21J01295
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榊原 教貴 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 光触媒 / プラズマ / 二酸化炭素 / 金属錯体 / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンニュートラルな社会の実現に向けて、光触媒によるCO2還元は大変有望な技術として大きく注目されている。本研究では、植物の二段階光励起機構に倣い半導体と超分子光触媒を融合した、可視光応答CO2還元を駆動する複合型光触媒のさらなる高性能化を目指した。これまでにほとんど試みられてこなかった半導体と超分子光触媒の接合界面の改質に着目し、低ダメージかつ高密度な表面改質で実績のある液中プラズマ技術を活用することで、界面状態の制御を試みた。 複合型光触媒としてはグラファイト状窒化炭素(C3N4)にRuRu超分子光触媒を固定化した系を用いた。C3N4へのプラズマ表面改質によって、C3N4表面に酸素官能基に富むカーボン層を数nm厚さで均一に堆積することができることを見出した。プラズマ改質C3N4をRuRu超分子光触媒との複合型光触媒によるCO2還元反応に用いることで、主生成物であるギ酸生成の耐久性は約3倍に向上し、ギ酸生成の選択率は95%以上という高い選択率を達成した。さらに、各種分光測定を行うことで、本性能向上のメカニズムについての知見を深めることができた。以上、C3N4へのプラズマ表面改質によって、RuRu超分子光触媒と複合化したCO2還元反応において耐久性と生成物選択率の向上に大きく寄与できることを明らかにした。本成果は、複合型光触媒の界面制御におけるプラズマ表面改質技術の有用性を示しており、光触媒設計における新たな方法論としてのさらなる展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、プラズマ表面改質を用いることで有機半導体であるC3N4の表面選択的な改質技術を確立し、超分子光触媒と組み合わせた複合型光触媒によるCO2還元の性能、特に耐久性と生成物選択性を向上させることに成功した。さらに、耐久性向上のメカニズムについても、各種検討を行うことで知見を深めることができている。以上の理由から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた表面改質が複合型光触媒の性能に及ぼす影響の知見をもとに、本年度とは異なるメカニズムで複合型光触媒の性能を向上させ得る新たな表面改質の適用を進めていく。それと同時に、プラズマ表面改質のもう一つの利点である超分子光触媒との親和性向上を用いることで、さらに複合型光触媒の性能向上を推し進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)