2021 Fiscal Year Annual Research Report
嵩高いジスルフィド結合をもつ環状分子による空間連結型高分子の構築
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21J20562
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高嶋 力任 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 動的共有結合 / 超分子 / 高分子 / 環状高分子 / ジスルフィド / 空間連結型高分子 / 電荷移動錯体 / 大環状分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジス ルフィド(BiTEMPS)骨格は加熱するだけでラジカル的に開裂し、発生したラジカルを介して結合交換反応を引き起こす。本研究では、BiTEMPS骨格で連結された動的な大環状分子 (MM) を用いた『空間連結型の高分子』の合成方法を確立することを目的に研究を行っている。2021年度は、MM中に超分子相互作用部位としてナフタレンジイミド骨格とアルコキシナフタレン骨格を導入し、それらの相互作用を駆動力とした環状高分子と環状高分子が空間的に連結した高分子 (MICP) の合成を試みた。合成したモノマーの超分子相互作用について、UV-visスペクトルやプロトンNMRから確認した。それらMMの重合系中において超分子相互作用を最大限高める条件として、バルク重合に着目した。今までの研究で、得られたMMは結晶性が高く常温で固体であったため、高温条件でもバルク重合が進行しなかった。そこで、バルク重合可能な液状の大環状モノマーを新しく開発しそれらMMの重合の挙動およびその生成物をレオメーターやGPCで分析した。その結果、MICPの生成を示唆する結果が得られたため「BiTEMPS含有大環状分子に超分子相互作用導入することでMICPを加熱のみで得る」というコンセプトが実証された。すでにこの成果について論文を執筆し、論文はMacromolecules誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに1報査読付きの論文が受理されている。また、現在、空間連結型高分子(MICP構造)のより効率的な合成法の模索とその構造・特性の評価を試みている。さらに、大環状モノマーの重合挙動の調査なども進めておりMICP合成に重要な知見を深めるている。以上のように研究は順調に進んでおり、今年度も論文を投稿できる準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
大環状モノマーを利用したカテナンやロタキサンの合成手法を確立する。得られたカテナン構造中に 重合活性部位を導入し架橋剤とすれば、ビニルモノマーと共重合させることでカテナンで架橋された架橋高分子の合成へ展開できる。この時に用いる大環状モノマーの分子構造を変えることで、カテナン架橋における架橋点の分子運動制御についても検討する。カテナン構造で架橋された架橋高分子の物性評価 は、フィルムやゲルを作製し、引っ張り試験や動的粘弾性試験、熱機械分析など用いて行う。 物性評価を通じて、架橋点のカテナン構造の運動性が架橋高分子のマクロな物性に与える影響を明らかにする。また、その他、大環状モノマーの重合メカニズムの詳細を解明するなど、大環状モノマーについての知見を深める。
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Research Products
(11 results)