2023 Fiscal Year Annual Research Report
不確かさをもつ非線形ネットワークのマルチスケール解析:遺伝子ネットワークへの応用
Project/Area Number |
22KJ1269
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 留偉 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 非線形システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非線形システムの多様なダイナミクスを解析し,制御するための理論的枠組みの構築を目的としている.最終年度である本年度は,非線形システムの不変集合のハウスドルフ次元およびボックス次元の上界を与えるリアプノフ次元に着目し,以下の課題に取り組んだ. 1. レオーノフの方法によるルーリエ系の解析:特異値による次元推定にリアプノフ関数の方法を組み合わせたレオーノフの方法を一般化した.線形時不変システムと非線形フィードバックから構成されるルーリエ系に対して,それぞれの入出力特性からリアプノフ関数と(定数)計量テンソルが構成できる.それらを組み合わることで,安定性や次元を解析するための(非定数)計量テンソル場を構成する枠組みを構築した.提案手法では,開ループシステムの貯蓄関数と閉ループシステムの微分リアプノフ関数に異なる関数を用いることができるという特徴がある.さらに,レヴィンソンの意味での散逸系に対して,大域的安定性の必要十分条件がレオーノフの方法によって得られることを示した. 2. 局所ダイナミクスと大域ダイナミクスの等価性:線形システムでは,局所的ダイナミクスの特性と大域的ダイナミクスの特性は等価である.このことが非線形システムでも成り立つための条件を導出した.これはヴィシネグラツキー予想やエデン予想として知られる問題であり,大域的安定性やリアプノフ次元を厳密に特徴づけるために有用である. 以上の結果を国際会議論文にまとめ,発表予定である.
|