2023 Fiscal Year Annual Research Report
反強磁性体における高次トポロジカル相に由来した新奇物性の理論的探索
Project/Area Number |
22KJ1278
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 悠太朗 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | トポロジカル相 / 高次トポロジカル相 / トポロジカル結晶絶縁体 / 高次トポロジカル絶縁体 / 結晶形状 / 表面エネルギー / 結晶対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)最終年度に実施した研究の成果 鏡映対称性に保護されたトポロジカル結晶絶縁体の持つ表面状態や空間反転対称性に保護された高次トポロジカル絶縁体の持つ境界状態が、平衡状態で最も安定な結晶形状である結晶平衡形に与える影響についての研究を行なった。それにより、トポロジカル結晶絶縁体や高次トポロジカル絶縁体の持つ境界状態が、その出現位置に依存して表面エネルギーの異方性に寄与し、それによって、結晶平衡形に影響を与えることがわかった。この研究により、トポロジカル相の観点から結晶の形態形成についての理解をより深めることができたと考えている。 また、非エルミート系において周期的境界条件と開放境界条件でエネルギースペクトルが全く異なるものになるという非エルミート表皮効果に関する研究も行なった。非共型な結晶対称性に基づく解析から、非エルミート表皮効果が自動的に出現してしまう条件を発見した。この知見は、結晶対称性を用いた非エルミート系のバンド構造の制御につながると期待される。
(2)研究期間全体を通じて実施した研究成果 研究期間全体を通じて、結晶対称性に保護された様々なトポロジカル相に起因した新奇物性現象の発見とその解明を行うことができた。特に、今まで知られていなかったトポロジカル相と結晶形状の関係を明らかにできたことは、トポロジカル相の研究分野だけではなく、それ以外の研究分野にも影響力のある成果であり、トポロジカル相と対称性を用いた結晶形状の制御といった今後のさらなる展開も期待できると考えている。それ以外にも、結晶対称性に保護されたバルク・ヒンジ対応、結晶対称性に起因する非エルミート表皮効果、全ての層群における2次元トポロジカル相転移など、様々なトポロジカル物性に起因する新奇物性の開拓を行うことができた。
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