2022 Fiscal Year Annual Research Report
Bio-Inspired Signal-Amplification Sensing
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21J22528
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 裕彬 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | スマネン / 超分子ポリマー / 化学センサー / 静水圧 / 分析化学 / 光化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、シグナル増幅機構の範囲を拡大した化学センサーの構築を目指し、生体内反応を活用した内・外部因子による新規シグナル増幅センシング手法の開発を目論むものである。化学センサーによるセンシングでは、置換基の導入などセンサー内部の要因による系の制御が可能である。従って本提案では、下記の二つを主に明らかにしていく:(1)スマネンへの分子認識部位の導入により、さらなる分光シグナルの増幅を目指す。また、外部因子として静水圧による化学センサーの光学特性を積極的に制御してきた。(2)そこで、静水圧制御法をスマネン系に適用することで、分光シグナルのさらなる増幅を目指す。 今年度の実績としては、(1)に示した内部因子によるシグナル増幅センシング手法の原理検証を達成したことが挙げられる。具体的には、昨年度に達成した未修飾のスマネンとスマネン化学センサーを共存させた系における分子認識実験をより詳細に調査した。この結果、スマネンが非共存の系と比較して11倍の結合定数の増幅が観測された。また、このシグナル増幅の原因を密度汎関数理論(DFT)計算により明らかにした。つまり、スマネン化学センサーとスマネンをスタックさせて超分子ポリマーを形成することにより、LUMOのエネルギーが低下して分子認識に関与する置換基のアクセプター性が向上していることが判明した。 さらに、スマネンの溶液中における超分子ポリマー形成についても調査した。この結果、メチルシクロヘキサン(MCH)においてはK = 18600 M-1、CH2Cl2においてはK = 630 M-1で超分子ポリマーを形成することが明らかとなった。 これらの結果より、研究開始時に目論んでいた内部因子による新規シグナル増幅センシングを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では生体内反応を活用した内・外部因子による新規シグナル増幅センシング手法の提唱を行う。具体的には次の三つのセンシングにおけるシグナル増幅機構を主に明らかにする:(1)分子認識部位を修飾したスマネンを用いるセンシング、(2)外部因子として静水圧をスマネン系に適用するセンシング、(3)(1)および(2)で達成した増幅機構を基に、最終目標としてアレルギー反応に着目した意図的に閾値を発生させるセンシングを行う。2年目である今年度においては(1)のセンシングを行い、内部因子による新規シグナル増幅センシング手法の原理検証を達成し、最終目標に近づいたと考えられる。この結果をもって、(2)のおおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目において内部因子による新規シグナル増幅センシング手法の原理検証を達成した。この結果を踏まえ、今後は外部因子として静水圧をスマネン系に適用し、さらなるシグナル増幅を目論むことを予定している。 一方で、スマネン系は超分子ポリマーを形成しているため、キラル増幅などの興味深い物性を示す可能性がある。このため、本申請で提案をした新たな生体内反応としてアレルギー反応に着目した意図的に閾値を発生させるセンシングへの展開ではなく、スマネン系による広範なシグナル増幅センシング手法の確立を目指すこととした。具体的には、(1)ステロイドを標的分子としたセンシング、(2)さらなるシグナル増幅を目論むため、スタックさせる未修飾スマネンへ導入する置換基の検討を予定している。
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Research Products
(7 results)