2022 Fiscal Year Annual Research Report
最新の星・円盤形成の理解に立脚した早期木星形成下での太陽系形成モデル構築と検証
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22J14039
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本間 和明 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / ダスト / 太陽系形成理論 / 隕石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、星と星周ガス円盤形成の最新理論に基づき、早期に木星が形成された中での太陽系形成初期の描像が隕石の物的証拠と整合的かを明らかにすることである。本年度は本課題において重要となる、早期に形成された木星によるダスト混合の抑制へのダストサイズ分布の影響を明らかにする研究を行なった。隕石の同位体分析により、太陽系ではダストの混合が抑制されており、混合の抑制は早期に形成された木星に由来するとする木星説が注目を集めている。木星説は地球の水分量や炭素質隕石への重元素濃集を説明しうるため、木星説でダスト混合が抑制し得たかを明らかにすることは重要である。木星によるダスト混合抑制の効率はダストの大きさと乱流拡散の強さに依存する。そのため、ダストのサイズ分布と乱流拡散の強さを考慮した場合に木星によるダスト混合の抑制が達成できるか明らかにすることが重要である。本研究の結果、木星によるダスト混合の抑制が弱い場合であっても、隕石の同位体比に見られる二分性を説明しうることがわかった。また混合抑制が弱い場合にのみ、隕石のクロム同位体比と集積年代の関係を再現しうることが明らかとなった。本研究の結果は投稿論文にまとめており、次年度に投稿する予定である。
上記に加えて、次年度への準備として木星形成以前の星と星周ガス円盤形成によるダストの同位体比の時空間不均質を求めるモデルを作成した。次年度は本モデルを元に古典論と最新の理論に基づき、円盤形成からその後の木星形成までの同位体比の空間変動を調べ、太陽系形成初期の描像を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と異なってはいるが、木星説の検証に関しては当初予定していなかった重要な結果が得られた。加えて次年度の準備としてモデルの作成が完了し、数値計算の結果が得られ、その理解を深めている。木星説に関する研究の成果は論文にまとめており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作成した計算モデルを用いて、木星形成以前の星と星周ガス円盤形成段階に伴う同位体比の時間変動を古典論と最新理論の観点から調べる。本モデルと早期の木星形成モデルを組み合わせ、隕石の同位体比と整合的な太陽系形成初期の描像を探る。
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