2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J14247
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
足立 惇弥 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 粘度応答性 / アントラセン / ミセル / ベシクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂質二重層中でπ電子系分子の新しい機能制御を達成することを目指し、中央に疎水性の芳香族部位、両末端に親水性部位を有する交互両親媒性を設計していた。開殻分子を扱う主な研究に先立って、実施計画通りに設計分子と同等の骨格を有するモデル分子を合成し、水中における基本的な挙動を調べた。その結果、側鎖として導入したオリゴ(エチレングリコール)鎖の長さによって、分子内の発色団自体の発光特性は特に大きく変化しないにもかかわらず、ミセルやベシクルに対する感度が変化するという、研究を展開する上で重要な知見を獲得した。一方で、この検討の過程において今回の交互両親媒性分子が脂質二重層の疎水領域に保持されないことが示唆された。当初の分子設計の意図と異なるが、研究室で開発されてきた分子と異なる興味深い挙動であったため詳細を検討したところ、本分子が細胞膜すらも透過し、細胞毒性も十分に小さいという興味深い性質を見出した。そこで当初の計画を変更し、生細胞に適用できる新しい粘度応答性蛍光プローブの開発に焦点を当て、研究を進めることとした。結果として、今回開発した分子はバックグラウンドフリーで生細胞内のリソソームを可視化することが実証され、その蛍光シグナルがリソソーム内の粘度に応答することを示唆する結果が得られた。本分子は従来の系と異なる新しいメカニズムで粘度に応答しており、生細胞に適用できる粘度応答性蛍光プローブの新しい分子設計を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モデル分子の合成を完了し、水中における基本的な挙動を調べた結果として、ミセルやベシクルへの感度を側鎖の長さだけでチューニングできることが実証された。本検討で学術論文を発表するまでの結果が得られたのは僥倖である。その後、予期せぬ結果によって当初の計画を変更したが、その研究についても生細胞内で機能する粘度応答性蛍光プローブとしての成果に結実し、既に学術誌に掲載される程の結果が得られていることから、現時点では当初の計画以上の進展が見られていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したモデル分子が望外な結果を与えたため、引き続き粘度応答性蛍光プローブとして研究を展開していく。側鎖が分子の粘度応答性に影響を与えなかったため、側鎖に官能基を導入することで多様な可視化が可能だと見込まれる。同時に、本研究計画のメインとなる分子の合成に着手する。
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Research Products
(5 results)