2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1312
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
足立 惇弥 九州大学, 理学研究院, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 粘度応答性 / 蛍光プローブ / アントラセン / ミセル / ベシクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂質二重層を用いた新しい分子機能の開拓を目的に、π電子系分子の新しい機能性制御の達成を目指していた。中央に疎水性の芳香族部位、両末端に親水性部位を有する交互両親媒性モデル分子を設計し、水中における基本的な挙動を調べると、側鎖のオリゴ(エチレングリコール)鎖の長さによってミセルやベシクルに対する感度が変化することが分かった。分子内の発色団自体の発光特性は特に変化しないにもかかわらず、オリゴ(エチレングリコール)鎖の長さで分子の性質が変化するこという、関連研究を展開する上で重要な知見を獲得し、学術論文として発表した(Chem. Lett. 2023)。この検討の過程において、今回の交互両親媒性分子が脂質二重層の疎水領域に保持されないことが示唆され、逆に分子が細胞膜を透過し、特定の領域を染色することを見出した。種々の検討から、ミセルやベシクルに応答しなかった分子を用いることで非特異的な蛍光が抑えられ、細胞毒性も小さいことが確認された。さらに、細胞内の局所粘度を変化させるストレスを与えることで蛍光シグナルが変化することを実証した。以上の結果から、従来の系と異なる新しいメカニズムで粘度に応答する、生細胞内でも機能する蛍光プローブの開発に成功し、学術論文として発表した(Anal. Chem. 2023)。また、本分子群は細胞系とは異なる系でも粘度をターゲットとしたプローブとしても機能することを実証している。これは類似研究結果もあまり報告されていない興味深いプローブ特性であり、現在学術論文の執筆を進めている。
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Research Products
(2 results)