2023 Fiscal Year Annual Research Report
情報漏洩耐性を持つ実用的な暗号通貨の実現に向けた多重署名方式に関する研究
Project/Area Number |
22KJ1366
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
竹牟禮 薫 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 多重署名方式 / 暗号資産 / 閾値署名方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗号資産は近年多くの注目を集めいている技術の一方で、資産流出に関するインシデントを耳にすることも少なくない。この主な原因は、送金等に必要な署名を生成するための秘密鍵の漏洩である。秘密鍵漏洩への対策として利用できる高機能暗号方式の1つに多重署名方式があり、本研究では既存研究では達成されていない情報漏洩耐性を持つ方式の構成を目的として研究を行っている。 昨年度は、目的とする情報漏洩耐性を持つ方式の構成が困難であったため、方式構成の知見を深める等を目的として、情報漏洩耐性に限らない多様な性質に着目して多重署名方式を主軸に関連署名方式に関して研究を進めてきた。具体的には、離散対数問題ベースの2ラウンド多重署名方式において、厳密なパラメータ設定の下で効率的な方式を構成した。本年度では、本研究成果と非常に関連の深い最新の研究結果との比較や、追加の性能評価を行った。これらの成果は昨年度の成果と合わせて、査読付き国際論文誌に採録決定された。また、本提案方式の安全性を向上させた改良方式の構成とその安全性を行った。本結果は博士論文に掲載した。 また本年度は、多重署名方式と関連の深い閾値署名方式に関しても研究を実施した。閾値署名方式は、多重署名方式と同様に秘密鍵漏洩の対策として利用できる署名方式である。既存研究では、様々な計算問題を基に構成された方式が提案されているが、特に耐量子計算機暗号を構成するためによく用いられる格子問題をベースした方式に着目して研究を行った。既存研究では未達成の性質を持つ新たな方式を構成し、現在査読付き国際会議に投稿中である。 今後は、上記の研究から得た方式構成の知見を基に、情報漏洩耐性を持つ方式の構成を目指す。
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