2022 Fiscal Year Annual Research Report
運動錯覚による身体変容を利用したVR空間における自由な把持・接触物体提示の実現
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22J21190
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
牛山 奎悟 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 自己受容感覚 / 運動錯覚 / 力触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動錯覚を用いた身体の錯覚により環境や把持物体の物性変調を実現するために,その基盤となる運動錯覚現象そのものの増強を図った.運動錯覚の生起には振動アクチュエータが主に用いられるが,アクチュエータを見直し自作を試みたり,水中での予備的検討,他の錯覚提示手法との組み合わせを検討した.運動錯覚は筋への刺激によって実現されるため,比較的大型のボイスコイルアクチュエータを自作すること筋が緊張することにより錯覚が減衰してしまうことが知られており,水中で重力による緊張を緩和することで,運動錯覚の増強を試みた.また,錯覚提示手法との組み合わせについては,電気刺激との組み合わせを試みた.探索している際に,指部で錯覚現象が生起することを発見し,被験者実験を行い学会誌へ投稿を行い採録された.未だ劇的な結果は得られていないが,これらのように身体の錯覚は探索的に模索し続けることで,新たな発見を得られることがあるため,引き続き増強のために検討を行っていく. 一方で,運動錯覚の応用的な利用についても検討を行った.振動刺激を使った従来の方法により,どの程度,身体の錯覚が環境の知覚に作用することができるのか被験者実験を行った.今回の実験では,把持物体の重さや抵抗感を錯覚によって変化させ得るのか調査し,その結果を国際学会にて発表した.運動錯覚を通じてどの物性を知覚的に変調可能なのか理解するために,段階的にそれぞれの物性について調査することは重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
錯覚を増強するために,探索的に調査を行っていたため,目に見えるような成果はそこまで得られなかった.しかしながら,この探索は錯覚増強の実現への「種」となるもので,予備的検討から得られた知見を基に調査を進めていきたいと考えている.一方で,論文の投稿も行うことができていたので,そこまで遅れているわけではないと考える.また,昨年度は研究留学を行ったため,研究以外の手続きなども増えあまり研究に対してあまりコミットできなかったことも要因の一つとして考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,錯覚増強の方法は模索していきたいと考える.予備的検討から得られた知見を基に実際に被験者実験を行い,その有効性を検証することや,錯覚提示装置の作成を行うことで錯覚増強について研究を進めていく.一方で既に試してきた手法は微かに錯覚が強くなる程度であり,劇的に錯覚を増強できるような手法はまだ発見できていないため,他の手法も引き続き試していくことを考えている. また,把持物体の物性変調についても調査を進める.今までに,重さと抵抗感を増強させられることが分かっているため,例えば逆に知覚的に減少させることができないないか,など実験を行っていく.また,他の物性(長さなど)についても変調させることが可能か,検討し可能であれば実験を行っていく.
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