2022 Fiscal Year Annual Research Report
南大洋の生物炭素ポンプにおける小型動物プラクトンの役割
Project/Area Number |
22J40155
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
立花 愛子 東京海洋大学, 学術研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2026-03-31
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Keywords | 南大洋 / 小型動物プランクトン / カイアシ類 / 生物量 / 生物炭素ポンプ / 鉛直移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、南大洋インド洋セクターの小型動物プランクトンの群集構造(種組成、分布、生物量)を明らかにすることを目的として、過去の観測で得られた4年分の試料(UM15-08、UM16-08、UM17-08、UM19-08)を用いて、分析および研究手法の確立を行った。各年における夏季の本海域の種組成では、小型カイアシ類であるOithona similis s.l.が優占した。その他にもOncaeidae spp., Ctenocalanus citer や大型カイアシ類のノープリウス幼生などを含めた小型な動物プランクトンが全体の75-90%を占めた。個体数密度はNorthern branch of the Southern Antarctic Circumpolar Current frontの北側であるNorthern Antarctic Zoneで高く、南側で低くなる傾向にあり、種組成も変化することが明らかとなった。生物量については、画像分析による体長測定からの算出方法を検討しており、解析中である。得られた結果を用いて、生物量および種組成と合わせて群集構造の経年変化を解析し、夏季の本海域における小型動物プランクトンの炭素量について正確に見積もる予定である。 UM19-08で得られた試料は、ルゴール固定をしており、DNA分析も可能な試料である。同海域には複数の遺伝子集団のOithona similis s.l.の出現が予想されたことから、水平的な遺伝子集団の分布が異なるかを確認するために、Oithona similis s.l.のソーティングを行い、顕微鏡による形態観察とDNAの抽出を行った。また、今後のDNAバーコーディングによる群集構造把握のため、その他の出現種に関してもDNA配列(ミトコンドリアCOIと18S領域)の網羅的な取得を目的として、形態分類とDNAの抽出を行った。得られたDNAから順次DNA配列を取得し、メタバーコーディングのリファレンスとして用いることを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
8月から産休・育休のため、研究を中断した。そのため本年度に予定していた研究計画の大半を次年度以降に行うこととする。本年度の2月に予定していた観測航海への参加および試料採集や準備を翌年度以降に行う。また、過去に得られた試料からの生物量算出についても翌年度以降に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に必要な観測航海への参加と試料の採集を行い、生物炭素ポンプにおける小型動物プランクトンの役割を明らかにする。過去の試料との結果と合わせて本海域における小型動物プランクトンの生物量を正確に見積もる。また、DNA抽出試料からO. similis s.l.やその他の種のDNA配列を取得し、小型動物プランクトンの分布および群集構造について解析を行う。
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