2022 Fiscal Year Annual Research Report
Siフォトニクス集積型LiDARによる3次元イメージングの実証
Project/Area Number |
22J15310
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鎌田 幹也 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | LiDAR / FMCW / Siフォトニクス / スローライト回折格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,自動運転応用に用いられる3次元センサとしてLiDARが注目されている.特に,Siフォトニクスを用いた非機械式FMCW LiDARが盛んに研究されており,光フェーズドアレイやフォーカルプレーンアレイを用いたオンチップLiDARが実証されている.我々は,別のアプローチとして,スローライト分散を利用した,スローライト回折格子 (SLG) を非機械式ビームスキャナとするFMCW LiDARチップを開発している.これまでに,大規模なリアルタイム2次元ビーム走査や3次元点群画像を実証してきた.しかし,櫛状ノイズと呼んでいるノイズにより測距信号のS/Nが低下し,標準的なLiDAR動作に求められる散乱体のイメージングが困難であり,ノイズ発生の原因特定が急務であった.本研究では,櫛状ノイズの発生要因をスペクトル計算および光周波数領域リフレクトメトリ (OFDR) を用いたチップ内部の反射点解析により調査した.スペクトル計算では,チップ内部に反射点が存在していることを前提とし,FMCW光信号に意図しない窓関数の変化を加え解析した.その結果,窓関数の裾引きが残留していることが,最も櫛状ノイズに寄与していることが判明した.また,OFDR解析では,チップ内部の反射点がSLG接続部で生じていることが分かった.これらの原因を改善することで,10 dB以上のS/N改善が見込まれ,散乱体のイメージングが可能になると考えている.改善策としては,FMCW光信号の波形補正,内部反射により生じる成分を等長化により抑制することを考えており,今後,引き続き行っていく.後者は,すでに等長化を施した新規デバイスを設計しており,製作され次第,検証を行う予定である.これらのノイズ要因特定および改善により,オンチップLiDARの動作実証が期待され,自動運転応用における3次元センサの発展に大きく寄与すると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としていた櫛状ノイズの原因の発生要因を,理論計算と光周波数領域リフレクトメトリによる内部反射解析によりおおよそ特定することができた.また,それを改善する新規デバイスも設計しており,計画していた送受信別構成に加え,新たに等長化を取り入れた構成も設計が完了しており,おおむね順調に研究が進んでいると考えている.これは,数回におよぶデバイス設計を行ってきたためであるが,その設計に注力したが故に,櫛状ノイズの除去までには至っていない.そのため,進捗はやや遅れていると判断した.ただし,その改善策を講じた様々なデバイスが製作され次第,ノイズ除去に対して大幅に進めることができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかにしてきた,櫛状ノイズの原因を改善するために,FMCW光信号波形の補正を行い,意図しない強度変化や窓関数の裾引きを改善する.また,チップ内部の反射の影響を抑制する送受信別構成や等長化を施した構成のデバイスが製作され次第,評価し,ノイズ抑制を実証する.これらの改善の後,散乱体のイメージングに取り掛かる.また当初の研究計画にはなかった,FMCW LiDARの環境光への耐性を新たに調査している.具体的には,太陽光や他のLiDAR光が混入したときの測距信号への影響を評価しており,引き続き行うとともに,それらの成果をまとめた学術論文の投稿や,国際会議での発表を予定している.以上を年度前半で行い,後半ではそれらを整理し博論執筆にとりかかる.
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