2021 Fiscal Year Annual Research Report
Model-driven Study of Host Cell Multiscale Dynamics in Viral Infection
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21J22938
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
小高 充弘 総合研究大学院大学, 複合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子ネットワーク推定 / オミクス解析 / モデル妥当性確認 / 新型コロナウイルス感染症 / 微分方程式系 |
Outline of Annual Research Achievements |
微分方程式系に基づく複数の新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) のウイルスダイナミクスモデルを構築し,安定性解析と感度解析によるモデルの定性分析,実データとの較正実験を行い,SARS-CoV-2 感染系における仮説的な細胞間感染(Cell-to-cell transmission)と新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 重症度との間に関連があることを見出した.得られた SARS-CoV-2 細胞間感染仮説の検証を動機として,細胞間接着を担う代表的な分子 ICAM-1 (Intracellular adhesion molecule 1) に注目し,ICAM-1 が関わるシグナル伝達経路の同定に取り組んだ.シングルセルオミクスデータの統計処理により遺伝子発現量に疾患特異的変動の見られる共発現遺伝子を抽出した後,二階偏相関係数の算出と擬似相関除去により ICAM-1 の共発現遺伝子ネットワークを推定した.このネットワークに対して知識ベース由来の背景知識をもとに妥当性確認を行い,パスウェイを構築した.結果を通じて,炎症反応制御に関わる NF-kB 非古典経路や微小管形成中心に関与する分子の活性化,ウイルスシナプス形成に至る未知のパスウェイの存在が示唆された.こうしたパスウェイが実際に存在するかについては別途,顕微鏡実験等により観察し現象論的に証明する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微分方程式系に基づくウイルスダイナミクスの研究は学術誌 Heliyon (Q1) にて採択・発表され,マルチスケール性を考慮した遺伝子ネットワーク推定の研究はパスウェイの同定という知識発見にまで至っている(COVID-19 関連プラットフォームに登録済み).技術開発の面ではグラフィカルモデリングを活用した共発現遺伝子ネットワークの推定アルゴリズムを独自に開発しており,今後のフレームワークの基盤を形成できたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
マルチスケールモデリングは本研究の達成目標の一つだが,これよりも先に今年度取り組んだような課題,すなわちデータ駆動型ネットワーク推定法の汎化性能の改善や,多変量時系列からのネットワーク学習・推論と微分方程式系の同定といった課題に取り組む必要が生じてきた.最終的にはマルチスケール性を考慮したモデル同定まで到達したいと考えるが,まずは基盤技術開発の比重を置いて研究を進める.
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Research Products
(6 results)