2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1446
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
茂木 大知 新潟大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 河川工学 / 計測 / 交互砂州 / データ駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川の水理は物理量の平面二次元的な空間変化を把握することで表現できる.一般に,実河川や模型実験における平面的な計測は困難であり,物理モデルを用いた数値解析が常用されるが,必然的に内在する仮定の検証や不確実性は十分に定量化されない.本研究は,河川水理を対象とした二次元計測手法を開発し,当分野で初めてのビッグデータを取得する.その後,河川の挙動解明を目的としたデータ駆動型解析を実施した. 本研究の対象は,国内河川の底面に自発的に形成され,洪水時に偏流を誘発する交互砂州である.研究期間初年度では,本研究の開始直前に模型実験を対象とした計測手法に関する論文が出版され(DoI:10.1063/5.0085574),ビッグデータを用いた研究を速やかに開始できた.代表者は,交互砂州の形成を対象とした模型実験を実施し,その過程が定量的に3段階に区別可能なことを示した.また,それぞれの区分において現象を支配する物理機構が異なり,同過程においては流水と底面形状の相互作用を考慮することが不可欠だと明らかにした. 当該年度の研究では,初年度の成果に基づき流水と底面形状の相互作用を定量化するため,1)交互砂州の発生要因の特定と,2)交互砂州と流水の関係性の定量化を目的として,研究を実施した.その結果,1)では,交互砂州発生の初期段階において,水面の波が底面に転写するように形成される事を明らかにし,これまで定説であった底面の微小凹凸が発生要因とする仮説に対して新たな仮説を提唱した.また,2)では,発達する交互砂州形状と偏流度合いの双方を定量化し,その関係性を明らかにした.ここで,偏流度合いは交互砂州波長と水深の比で評価可能であり,洪水時に水深が増減する実河川において側岸が侵食される危険性を初めて定量化可能とした.上述の成果は,1)はPhys. Fluidsにて発表済みであり,2)は現在投稿準備中である.
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