2021 Fiscal Year Annual Research Report
Technical development of neural activity measurement of specific input-pathways from multiple brain regions and its application to sleeping-state hippocampal activities
Project/Area Number |
21J01654
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長内 尚之 富山大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 局所電場電位 / 独立成分分析 / 光遺伝学 / 海馬-嗅内皮質回路 / オシレーション / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①多点電極アレイで記録した局所電場電位から、特定脳領域からの入力活動を分離する技術を開発し、神経回路の動態を調べるうえで基礎となる技術を確立し、開発した技術を用いて、②海馬以外の脳領域(嗅内皮質・視床結合核)から海馬CA1への入力動態の解明に応用することを目的とする。海馬-嗅内皮質回路に注目し、局所電場電位記録に対し独立成分分析と光遺伝学による刺激を組み合わせることで、海馬CA1において海馬CA3錐体細胞、嗅内皮質3層細胞および嗅内皮質2層島細胞からの入力由来活動を分離した。海馬CA1にシリコンプローブと光ファイバーをインプラントし、記録した局所電場電位に対して独立成分分析を用いて複数の信号源を分離した。さらに、分離した信号源において特定回路の光刺激に対する誘発応答を調べ、入力回路由来活動を同定した。光刺激アーティファクトと神経誘発活動は光刺激に対する応答の動態が異なっており、短パルス波形と指数減少関数の畳み込みを用いてアーティファクト波形モデルを作製し、モデル波形をカーブフィットして元の波形から差し引くことで神経誘発応答波形を得た。誘発応答が見られたコンポーネントから海馬CA3と嗅内皮質細胞由来活動を再構成し比較したところ、海馬CA1錐体細胞層においてリップル活動の大きさに差が見られた。さらに、嗅内皮質3層細胞と嗅内皮質2層島細胞由来活動を比較したところ、シータリズムの大きさや、海馬CA1におけるLFPとのシータ-ガンマカップリングの強さに差がある傾向を見出した。よって、本研究で開発した技術は異なる脳領域からの入力活動動態の違いを示せることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所電場電位記録に対し独立成分分析を用いることで、複数のコンポーネントが分離された。当初、光遺伝学による刺激応答波形を観察する際、刺激光によるアーティファクトが表れると懸念されたが、時間的な動態の違いからアーティファクトと神経応答活動を分けることができた。海馬CA3と嗅内皮質細胞由来活動で、海馬CA1錐体細胞層においてリップル活動の大きさに差が見られたことから、本研究で新たに用いた手法は異なる入力回路の動態の違いを表現できることが示された。さらに、これまで調べられてこなかった嗅内皮質3層細胞と嗅内皮質2層島細胞から海馬CA1への入力の活動を比較したところ、シータリズムの大きさや、海馬CA1におけるLFPとのシータ-ガンマカップリングの強さに差がある傾向を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、一動物につき一つの入力回路しか調べることが出来なかった。本年度は、一動物で異なる脳領域からの入力特異的な神経活動を同時に分離する技術を開発し、1個体において異なる脳領域からの入力の相互関係を調べる。同一のマウスで異なる脳領域にChR2およびchrimsonRを発現させ、海馬CA1に多点電極アレイおよび光ファイバーを埋め込み、記録したLFPに対して独立成分分析を用いて信号源を分離する。分離された信号源のうち青色光・赤色光刺激に反応を示すものを特定し、それぞれの領域からの入力由来の活動を同時に得る
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