2023 Fiscal Year Annual Research Report
消化管水分挙動解析に基づく薬物-飲食物間相互作用の定量的予測法の確立
Project/Area Number |
22KJ1465
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹村 美由記 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 薬物吸収 / 薬物-飲食物間相互作用 / 浸透圧 / 消化管内水分動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、薬物-飲料間相互作用発現に及ぼす膜透過性の影響について、浸透圧に依存した水分挙動と薬物の膜透過性の関係性に着目した定量的解析を試みた。まず、Caco-2細胞を用い、種々薬物の膜透過性を評価し、幅広い膜透過性を有するモデル薬物の選択を行った。その結果、antipyrine > metoprolol > propranolol > zidovudine > levofloxacin > atenolol > fexofenadine > aliskirenの順で高い膜透過性が示された。次に、それぞれの化合物について、精製水およびapple juice (AJ)を用いてラットin vivo経口投与実験を行い、薬物-AJ間相互作用に及ぼす膜透過性の影響を定量的に評価した。aliskiren、fexofenadineおよびatenololは、いずれも血中濃度の低下が観察された。また、levofloxacin, zidovudine, propranololおよびantipyrineは、いずれも血中濃度は変化せず、AJの影響を受け難いことが示された。したがって、高膜透過性薬物は、水分挙動変動が生じる前に吸収される、あるいは希釈現象が生じたとしてもその高い膜透過性からほとんど影響していないことが示唆された。 以上の結果から、薬物-AJ間相互作用と薬物の膜透過性との関連性に着目すると、吸収低下を引き起こす相互作用に対して膜透過性の閾値が存在することが示された。 本研究により得られた成果は、薬物相互作用を巡る知見・エビデンスとして、医薬品開発における相互作用リスク管理および臨床における医薬品の適正使用など、幅広い領域で貢献できるものと期待される。
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