2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Mechanism of Imidazole Dipeptide for Improvement of Social Function
Project/Area Number |
22KJ1469
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 知陽 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | オキシトシン / 自閉スペクトラム症 / カルノシン |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症の中核症状とされている社会性を改善するような薬剤はこれまで見つかっていない。現在、社会性行動に広く関与していることが知られている脳内ペプチドホルモンであるOTが治療薬として注目されているが、実用化に至っていない。そこで、OTの分泌を促す分子として、カルノシンの可能性に目をつけた。まず、ASDモデルマウスの社会性行動障害改善効果についての検証を行った。申請者らが保持するASDモデルマウスのCD157KOマウスにて、カルノシン投与によりOTの分泌が上昇するかどうか検討を行ったところ、カルノシン含有飲料水を飲水させたCD157KOマウス群の脳脊髄液(CSF)のOT濃度がコントロール群よりも高く、さらに、3コンパートメント社会行動試験テストにて、カルノシンを飲水摂取したASDモデルマウスの社会性行動障害の改善を認めた。よって、カルノシンをASD治療薬として使用できる可能性を見出し報告した。さらに、バルプロ酸(VPA)胎内暴露マウスにおいても、カルノシン摂取により、社会性行動障害を改善する作用があることを確認した。現在カルノシンの長期的作用を検討している。また、ヒトにおいては、カルノシン分解酵素濃度が高いことから、カルノシン摂取の効果が低い可能性がある。そこで、カルノシンの類似ペプチドであるアンセリンの有用性についてもASDモデルを用いて検討を行っており、カルノシン同様の改善効果を認めている。一方、カルノシンによるオキシトシン分泌メカニズムの解明を目的に、神経初期培養を確立し、カルノシン刺激によって、細胞内カルシウム動員が検出可能かどうか検証中である。
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