2022 Fiscal Year Annual Research Report
共役置換による連結および光による分解反応を鍵とするポリマー修飾法の開発と応用
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20J00360
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
赤江 要祐 信州大学, 繊維学部, 特別研究員(CPD) (40837415)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2025-03-31
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Keywords | 活性エステル / 重合後修飾反応 / 不斉反応 / 機能性高分子 / らせん高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ペンタフルオロフェニルエステル(PFPE)基を側鎖に含むポリフェニルアセチレンの不斉選択的アミド化反応について検討した。 ポリフェニルアセチレンのフェニル基側鎖のパラ位にPFPE基を有するポリマーP1の側鎖の内35%をR-1-フェニルエチルアミンと反応させて得られるP1_35においては不斉選択的でないアミド化反応が観察された一方、57%を同アミンと反応させて得られるP1_57においては不斉選択的反応が観察された。この結果から、不斉選択性の発現には一定量以上のキラルな側鎖の存在が必要であることが示唆される。より詳細を検討するために、様々な割合でキラルなアミド基を導入したポリマーの合成を検討したところ、ポリマーの溶解性が悪いためか、アミド化反応が定量的に進行せず、任意の割合での修飾が困難となった。現在はこのアミド化反応の効率化を図り、反応に適したポリマーの重合条件、およびアミド化反応条件の検討を行っている。 一方で、メタ位にPFPE基を有するポリマーP2においては、置換位置の違いからP1よりも高い溶解性が期待される。P2においてもP1と同様の検討を行った結果、先述のキラルなアミンとPFPE側鎖が46%反応したP2_46、および68%反応したP2_68のいずれにおいても、不斉選択的でないアミド化反応が観察された。この結果から、本不斉選択的アミド化反応には、キラルなアミド基側鎖の割合のみならず、その置換位置も影響することが分かった。メタ位よりもパラ位置換体の方が側鎖間の相互作用が大きくなるために、パラ位置換体で不斉選択性が発現した可能性がある。不斉選択性発現のメカニズムについては、シミュレーションによるアプローチも併せて検討している。本不斉選択的反応はキラリティーによる材料物性の制御、生体材料、接着対象となる標的表面認識といった、高分子材料への応用が期待出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
らせん高分子の重合後修飾反応における不斉選択的反応において、その選択性発現に必要な要素が確認されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率なアミド化反応の実現を目指し、ポリマーの合成条件とアミド化の反応条件を検討する。一方で申請者は、アシルアジド基とアルコール基を両方含むオルソゴナル反応剤が、複数の高分子合成反応に有用であることを明らかにしている。このオルソゴナル反応剤をさらに機能化することで、本研究に有用な高分子修飾反応の実現が期待されるため、そうした分子デザインに沿った反応剤の開発、ポリマーの合成、物性評価も検討する。
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Remarks |
日本化学会東海支部奨励賞受賞、2022年9月
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Research Products
(7 results)