2023 Fiscal Year Annual Research Report
Naive型ウサギ多能性幹細胞の樹立と胚盤胞補完法による膵臓再生への利用
Project/Area Number |
22KJ1490
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩月(中山) 研祐 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 始原生殖細胞様細胞 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究ではラットの初期胚発生において、多能性細胞が着床前から原腸陥入 (三胚葉分化の開始) までの時期にどのようにして多能性状態をダイナミックに変化させ、発生が進行するのかを理解するため、多能性幹細胞の培養法やその分化誘導法の確立に取り組んできた。1, 2 年目には、ラットの着床後エピブラストから樹立されるエピプラスト幹細胞 (EpiSC) を均一な未分化性を維持しながら安定に維持できる培養法を確立し、その培養法で維持された EpiSC が原腸陥入前の多能性エピブラストに似た遺伝子発現パターンを示すことが明らかとなった。さらに、EpiSC に着床前の多能性細胞で発現する転写因子 Klf4 を強制発現させることで胚性幹細胞様細胞 (ESCLC) へとリプログラミングできること、EpiSC が BMP 刺激によって、原腸陥入前のエピブラストから分化する始原生殖細胞様の細胞へと誘導できることが明らかとなった。 最終年度では、ラット EpiSC から始原生殖細胞様細胞への分化誘導法の確立・改良を通じて、多能性細胞が始原生殖細胞へと運命決定する分子メカニズムの解明や EpiSC から ESCLC へとリプログラミングする培養条件の検討を通じて、ラット ESC で顕著に見られるエピゲノムの異常な消去の原因究明を目指した研究に取り組んだ。その結果、EpiSC の始原生殖細胞様細胞への誘導では、BMP 刺激に加え、Activin-A の刺激が必須であることが明らかとなった。また、ESCLC におけるエピゲノムの異常な消去は、レポーター株を使用することで消去を抑える阻害剤のスクリーニングを試みたが、長期的に維持が可能な阻害剤の特定には至らなかった。このように ESCLC の培養条件を始め、今後も引き続き検討が必要だが、以上の研究成果はラットの初期胚発生および多能性幹細胞の理解に大きく貢献した。
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