2023 Fiscal Year Annual Research Report
‘ししとう’から見出されたトウガラシの辛味低減に関与する新規2遺伝子の特定
Project/Area Number |
22KJ1495
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
近藤 文哉 信州大学, 総合医理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | トウガラシ / カプサイシノイド / QTL解析 / HRM解析 / ゲノム・トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は量的形質遺伝子座(QTL)解析により、‘ししとう’の辛味低減に関与する2遺伝子座(Shql3・Shql7)のゲノム領域を絞り込み、それぞれ4 Mbp程度の候補領域が明らかになった。しかし、これらは単年次栽培の交配集団(’ししとう’×辛味品種’鷹の爪’)から得られた解析結果であり、QTLの遺伝効果が栽培環境によって変化する可能性があることを考慮すると、他年次栽培の集団においても上記推定領域の妥当性を明確化しておく必要があった。そこで本年度は、新たに2021年度栽培の交配集団を用いて、辛味強度に関するQTL解析を再度実施した。その結果、2020年栽培集団と同様に第3・7染色体の末端部にそれそれぞれ有意なQTL(Shql3・Shql7)が検出され、そのゲノム領域は2020年の推定領域と重複していた。これらの結果から、前年度の解析結果の再現性が得られ、2遺伝子座の座乗領域が栽培環境や、用いた集団の変化によらず、一定であることが明らかになった。本研究では、研究期間全体を通じて‘ししとう’から見出された辛味低減に関する2遺伝子座(Shql3・Shql7)の詳細なゲノム領域を明らかにすることができた。これらは複数のDNAマーカーを用いて‘ししとう’から辛味品種に導入することが可能であり、現状のトウガラシ育種では困難な辛味強度調節が実現できる可能性がある。一方、前年度に実施した推定領域内のゲノム・トランスクリプトーム解析の結果から、当該領域には’ししとう’と辛味品種’鷹の爪’間でDNA配列、遺伝子発現に変異のある遺伝子が100遺伝子程度存在するため、原因遺伝子の特定には、準同質遺伝子系統などを用いた遺伝解析が今後必要になると考えられた。
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Research Products
(3 results)