2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1520
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 真理 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | キネシン / ARK / 細胞内輸送 / 細胞極性 / 微小管 / ヒメツリガネゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内輸送は生命のさまざまなプロセスを支える基盤的な現象である。しかし、多くの植物はキネシン-1 などの動物における主要な順行性輸送モーターを遺伝的に欠損しており、同様の機能を果たすモーターは知られていなかった。そこで、植物の細胞内輸送における順行性輸送モーターを同定することを目的として、本研究を行った。まず、巨大なオルガネラである核の順行性輸送を担うモーターを同定するため、ヒメツリガネゴケで核の配置に関与することが知られていた植物特異的キネシンARKの解析を行った。その結果、ヒメツリガネゴケARK変異体では、核、葉緑体、ミトコンドリア、分泌小胞の動きが抑制されることを発見した。さらに、ARKはテール領域依存的に核周囲へ局在化し、かつプロセッシブな歩行活性を持つモーターであることが示された。これらの結果より、ARKの歩行活性とテールによる積荷との相互作用がオルガネラ輸送を駆動する可能性が強く示された。また、ARK変異体は顕著な先端成長の抑制の表現型を示した。この表現型は植物のRho GTPases の活性化因子、グアニンヌクレオチド交換因子である RopGEFや複数のアクチン調節因子の細胞先端への局在化の減少に起因していた。 ARKのモータードメインをによりRopGEF3を細胞先端へ局在化させた結果、先端成長の遅延が大幅にレスキューされた。つまり、ARKの歩行活性がアクチン調節因子の先端局在を促進することが示唆された。最後に、シロイヌナズナのARKホモログをヒメツリガネゴケARK多重変異体で発現させたところ、オルガネラ分布と先端成長の表現型を部分的にレスキューした。つまり、高等植物においてもARKの分子機能が保存されていることが示唆された。以上の結果を合わせて、ARKが多様な積み荷を運搬する植物の主要な順行性輸送モーターであることが示された。
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Research Products
(1 results)