2023 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and simulation studies of dynamics of granular rods based on collision statistics
Project/Area Number |
22KJ1523
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仲井 文明 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 統計力学 / 粉体 / 分子動力学法 / 離散要素法 / シミュレーション / 確率過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,粒子同士の衝突の統計に基づいて棒状粉体により構成される流体のダイナミクスの理論的記述を目指すものであった.当該の目標に対して,比較的単純な系から段階的に複雑な系を研究してきた.すなわち,2021年度/2022年度に平衡状態にある二成分の球状粒子系と障害物中を運動する棒状粒子,2023年度に不均一媒質中の粒子拡散の理論解析及び二成分の粉体粒子系を対象とした数値シミュレーションを実施した.予想に反して,当該の研究過程で,これまでに報告例がない新規現象を発見できた.すなわち,平衡状態にある二成分粒子系に関してある状況下で拡散係数が時間と共に揺らぐ現象を発見して,棒状粒子に関しては衝突頻度と角速度の時間スケールの乖離によって拡散係数が障害物の密度の増加に伴い向上する現象を見出した.以上の結果を粒子同士の衝突統計に基づいて理論的に説明した.2023年度には,不均一構造を持つ媒質中の粒子が発現する揺らぐ拡散性の理論解析を実施して,非ガウス性の特徴的時間スケールを見積もった.二成分の粉体系については,粒径が異なる粒子を流動化させると一般に偏析することが知られていたが,小粒子成分を過剰量導入すると偏析が妨げられることが分かった.当該の結果は,本申請課題の特別研究員奨励費によって購入したワークステーション2台を用いて実施した.最終的な目標である棒状の粉体系に関しては,2022年度に構築した障害物中の棒状粒子の運動を計算するアルゴリズムに衝突時に生じる散逸の効果を導入することで計算を実施している.研究期間全体を通して,得られた成果を学術論文として5件,国際学会6件,国内学会9件に報告した.併せて,名古屋大学学術奨励賞,国際学会のstudent travel grant,国内学会のポスター賞5件を得た.
|