2023 Fiscal Year Annual Research Report
通信機の超低消費電力化に向けた窒化ガリウム系高周波トランジスタの開発
Project/Area Number |
22KJ1532
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
隈部 岳瑠 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 窒化アルミニウム / 導電性制御技術 / 分極ドーピング / パワーデバイス / バイポーラデバイス / 結晶成長 / デバイス作製プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代通信用半導体素子として期待されている窒化アルミニウムガリウム・窒化ガリウム・ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(AlGaN/GaN HBT)の高周波動作実証を目指し、デバイス構造検討と要素技術開発を行なった。 初年度となる2021年度は、AlGaN/GaN HBTのデバイス作製技術の開発に焦点を絞り研究を行なった。有機金属気相成長法における結晶成長条件の最適化、加工損傷導入機構の解明と抑制手法の確立を通じ、複数の指標において世界最高峰の性能を示すAlGaN/GaN HBTの作製に成功した。また、作製したデバイス特性の解析から、ベース領域の低抵抗化が高周波動作実証のカギとなることを見出した。 2022年度は、ベース領域の低抵抗化を目指して、「分布型分極ドーピング(DPD)」を活用したGaN HBT構造の検討を行なった。具体的には、DPD層の基礎物性評価を行い、①DPDのみを用いた構造による理想的なp-n接合の実現、①正孔散乱機構の解明と任意組成・温度帯における正孔移動度予測モデルの構築、②従来の不純物(Mg)ドーピングと比較して極めて良好な電子寿命・拡散係数の観測と原理説明に成功した。 最終年度の2023年度は、バイポーラデバイス応用を通じ、DPDの有用性実証に主として取り組んだ。特に、DPDを活用した窒化アルミニウム(AlN)系縦型p-nダイオードでは、先行研究から電気的特性を大幅に改善し、特性オン抵抗においてAlN系縦型デバイスとして世界最高性能となる3 ミリオーム平方センチメートルを達成した。 以上のように、研究機関全体を通じ、複数の指標において世界最高峰の性能を示すAlGaN/GaN HBTを実現した。また、窒化物半導体・電子デバイスの性能向上を期待できるDPDの基礎理論構築と実デバイスにおける有用性の証明に成功した。
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