2022 Fiscal Year Annual Research Report
DNA junctionに蛍光色素と金属錯体を組み込んだ人工光合成系の開発
Project/Area Number |
21J23582
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東 秀憲 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | DNA / 人工光合成 / FRET / フォトレドックス触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではDNA junctionに触媒活性がある金属錯体を多数の蛍光色素とともに組み込んだ人工光合成システムの構築を目指す。本年度はDNA junction中に導入したドナー色素から金属錯体へのエネルギー移動の詳細な解析を行った。具体的にはドナー色素としてpyreneをDNA junctionの二重鎖部位に1分子導入し、金属錯体としてRu(bpy)3をDNA junctionの分岐部位に1分子導入し、pyreneからRu(bpy)3へのエネルギー移動効率を算出した。さらに、pyreneとRu(bpy)3間の塩基対数を変化させることでpyreneからRu(bpy)3へのエネルギー移動効率の距離・配向の依存性を調査した。その結果、pyreneからRu(bpy)3へのエネルギー移動効率は、距離のみに依存した。それに対し、コントロールとしてRu(bpy)3の代わりに蛍光色素であるperyleneをDNA junctionの分岐部位に導入した場合のエネルギー移動効率は、距離だけではなく配向にも依存した。このことから、エネルギー移動のアクセプターをRu(bpy)3にすると、エネルギー移動効率は距離のみに依存することが明らかとなり、高効率に光を捕集する人工光合成システムの設計が容易になることを見出した。 さらに、Ru(bpy)3の触媒能をDNA二重鎖の安定性制御へ応用した。Ru(bpy)3を導入したDNAと架橋性分子を導入したDNA二重鎖からなるDNA三重鎖に対して可視光を照射することでDNA二重鎖が選択的に架橋されることが明らかとなった。このことからRu(bpy)3をDNAに導入した際にRu(bpy)3の触媒活性が維持されていることが示された。今後はドナー色素から移動した光エネルギーによってもRu(bpy)3が触媒として機能するかの検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画通りに、DNA jucncrionの導入した蛍光色素から金属錯体へのエネルギー移動の詳細な検討を行った。さらに、金属錯体をDNAに導入しても触媒活性が維持されていることが示された。これらから、蛍光色素と金属錯体をDNA junctionに集積化した人工光合成系を設計するのに必要な知見を得ることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、DNAに導入した蛍光色素から移動させた光エネルギーによって金属錯体が活性を示すかを検証する。次に、本年度の研究で得られた知見をもとに蛍光色素と金属錯体を集積化したDNA junctionを調製し、人工光合成系として機能するかを検証する。
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Research Products
(3 results)