2023 Fiscal Year Annual Research Report
DNA junctionに蛍光色素と金属錯体を組み込んだ人工光合成系の開発
Project/Area Number |
22KJ1536
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東 秀憲 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | DNA / 光架橋 / 可視光 / 金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はDNA構造体に導入した金属錯体が触媒として機能するかについて調査した。三重鎖形成DNA にRu(bpy)3 を導入し、可視光を照射することでスチルベン導入二重鎖を架橋することを試みた。Ru(bpy)3は[2+2]環化付加反応を触媒することが知られている。この触媒作用を利用することで導入位置によってDNA 二重鎖の架橋位置を制御することが可能となる。スチルベンペアを1つ導入したポリプリン―ポリピリミジン配列に、Ru(bpy)3 を導入したポリピリミジン配列を添加することでスチルベンペアとRu(bpy)3 が近接した三重鎖を調製した。このDNA 三重鎖に456 nmの可視光を照射するとスチルベンの[2+2]環化付加反応の進行とDNA二重鎖の架橋反応の進行が観察された。一方、Ru(bpy)3を導入していないDNA三重鎖に可視光を照射しても反応の進行が観察されなかった。このことから、DNAに導入したRu(bpy)3がスチルベンの[2+2]環化付加反応を触媒しDNA二重鎖を架橋することが示された。Ru(bpy)3とスチルベンの励起エネルギーを計算するとRu(bpy)3からスチルベンへ三重項―三重項励起エネルギー移動することが示唆された。スチルベンの導入によってRu(bpy)3のリン光寿命が短くなることが明らかとなった。このことからRu(bpy)3からスチルベンへエネルギー移動していることが示された。スチルベンペアを2つ導入したDNA二重鎖の架橋位置をRu(bpy)3の導入位置によって制御できることも示された。以上より、Ru(bpy)3 によるスチルベンの[2+2]環化付加反応を利用することで、可視光によりDNA 二重鎖をRu(bpy)3 の導入位置依存的に架橋し安定化する手法の開発に成功した。この手法はDNA回路やDNAナノデバイスへの応用が期待できる。
|