2021 Fiscal Year Annual Research Report
重元素同位体比による広域テフラ精密同定と天然アーカイブ全球単年対比の実現
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21J40103
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊(奈良) 郁子 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(RPD) (70414381)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 年代決定 / 環境変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実施状況として、研究対象とする広域テフラ試料の国内における試料採取、化学分析を進めた。試料採取は主に東北地方を中心に進め、無事目的の環境試料を、複数の最終地点から、十分な試料量採取することに成功した。加えてテフラ試料のデータベースを持つ共同研究者から、過去に採取した噴火給源付近で採取されたテフラ試料の提供を受けることに成功した。 これらの試料を用いて、広域テフラ試料に含まれる火山ガラスを、マイクロマニピュレーターを用いて取り出し、純粋な火山ガラス試料の獲得に成功した。これら試料の化学分析のための前処理、微量元素分析、および同位体分析の実験手法を学び、質量分析計(ICP-MSおよびTIMS)を用いた分析データを取得しているところである。 さらに国内を対象に、広域テフラが新たに検出できる可能性をもつ地域の研究試料の採取、および研究対象地域の選定をおこなった。過去の文献調査を進め、研究対象としている広域テフラの降下範囲の最新情報を入手した。それにより、日本海側での新たな研究試料の採取が可能となった。 また、東北地方の汽水湖堆積物を使用して、広域テフラ、およびその他の地球化学的データ(生元素、無機元素、年代値)を用いて後期完新世における環境変動復元を行った。これにより東北地方における海水準変動期の精密な特定に成功した。研究対象としている広域テフラに基づく年代モデルを構築したことにより、環境復元及び年代精度を飛躍的に向上することができた。これら研究成果の一部は査読付の国際論文誌に論文発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止措置による海外渡航制限および帰国の再入国制限のため、海外研究者との共同研究や試料採取に関する打ち合わせが進まず、海外研究活動に関しては制限を受けたが、初年度に予定していた国内での試料採取が達成でき、かつその分析データ取得もすすめることができた。また、国内の研究者と精力的に情報交換をすすめることで、国内の研究機関に保管してある研究試料の提供を受けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進として、引き続きテフラ試料の入手、およびその化学分析を進めていく。特に、海外の試料を用いたテフラ分析に注力したい。また、テフラ層を用いた年代決定精度向上にも取り組む。また、研究課題における分析手法を国内外の環境試料への応用にも取り組む予定である。
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