2022 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類における卵胞発育を司るGnRHパルス形成メカニズムの解明
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22J10728
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長江 麻佑子 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | キスペプチンニューロン / 視床下部 / 遺伝子改変ラット / 卵胞発育 / グルタミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の卵胞発育は、視床下部弓状核に局在するキスペプチン/ニューロキニンB/ダイノルフィンA (KNDy) ニューロンが最上位から制御している。KNDyニューロンは一過性に活動し、性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) のパルス状分泌を発生させて卵胞発育を制御するが、GnRHパルスを発生させるメカニズムは不明である。本研究の目的は、KNDyニューロンがGnRHパルスを発生させるメカニズムを、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸に着目し、解明することである。 本年度の研究の実施により、KNDyニューロンのGnRHパルス発生におけるグルタミン酸の生理的役割の解明に資する、KNDyニューロン特異的に蛍光グルタミン酸レポーターを発現する遺伝子改変ラットの作製と、ラット生体内の脳深部において蛍光グルタミン酸レポーターの蛍光の変動をライブイメージングできる技術の立ち上げを進めた。また、Cre-loxPシステムによりグルタミン酸の分泌に必須の遺伝子を欠損できる遺伝子改変ラットの作製を進めた。さらに、KNDyニューロンにおけるGnRHパルス発生へのダイノルフィンの生理的役割を明らかにするため、ダイノルフィン受容体を発現する細胞特異的にキスペプチン遺伝子 (Kiss1) をノックアウトした遺伝子改変ラットを作製し、生殖機能を解析した。その結果、ダイノルフィン受容体を持たない少数のKNDyニューロンのみで、エストロゲン非存在下ではGnRHパルスを形成できるものの、生理的なエストロゲン下においてGnRHパルスが抑制されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、KNDyニューロンのGnRHパルス発生におけるグルタミン酸の生理的役割の解明に資する技術の立ち上げや遺伝子改変ラットの樹立を進めた。また、ダイノルフィンによるGnRHパルス発生制御メカニズムの解明について成果を得たことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、ラット生体内の脳深部におけるグルタミン酸レポーターのライブイメージング技術の立ち上げを進めた。今後は、ライブイメージング技術を確立し、KNDyニューロンにおけるグルタミン酸の受容動態を解析する予定である。また、KNDyニューロンからのグルタミン酸分泌を停止させた遺伝子改変ラットを作製し、このラットにおけるKNDyニューロンのグルタミン酸受容動態、性腺刺激ホルモン分泌動態、および生殖機能解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)