2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating novel pathological mechanisms of lung fibrosis using the anti-fibrotic drug as molecular probes
Project/Area Number |
22J12973
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 大修 名古屋大学, 創薬科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 標的探索 / 質量分析 / ピルフェニドン / クリックケミストリー / AP-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、あらかじめ合成済みであったピルフェニドン類縁体プローブを用いて、ピルフェニドンの標的因子を捕捉するための実験系の確立を行った。プローブには反応性の異なる2つのアジド基が含まれており、それらをそれぞれ標的とのクロスリンク、精製のためのクリック反応に用いる。当初はヒト肺線維芽細胞の抽出液中において、紫外線の照射によるプローブと標的との結合反応を行うことを考えていたが、合成したプローブの反応性の高さと反応特異性を考慮し、生細胞内にプローブを直接添加することによる標識反応について検討した。確立した反応系によりピルフェニドンの標的因子をラベルした後、磁気ビーズを用いたクリック反応による標的分子の精製と濃縮を行い、質量分析によるピルフェニドンの標的タンパク質群の網羅的な同定解析を行った。プローブに類似した分子を用いた競合阻害の有無を指標とし、得られた標的候補の中から統計的解析によりピルフェニドンと強く相互作用することが考えられる有望な候補因子を絞り込んだ。現在、これらについてリコンビナントタンパク質の発現ベクターを作製しており、これをHEK293T細胞で強制発現させてプローブと反応させることにより、ピルフェニドンとの結合性について再検証を行っている。現在、ピルフェニドンとの相互作用が確認できた分子が得られており、培養細胞や動物モデルを用いてピルフェニドンの標的因子が線維化に与える影響について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピルフェニドン類縁体プローブを用いた標的因子の捕捉実験について、従来の想定よりも特異性の高い実験系を確立することができた。確立した実験系を用いることにより、本年度の達成目標であったピルフェニドンの標的候補分子の同定解析まで完了している。候補分子の結合性評価に係る実験系の確立済みであり、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
結合性の検証実験を引き続き行い、結合性が確認できた因子に対しては、細胞や動物モデルを用いて肺線維症病態の進行に寄与する詳細なメカニズム解析を行う。具体的には、初めに培養細胞モデルを用いて対象因子の遺伝子の強制発現や発現抑制、タンパク質に対する阻害剤の投与を行い、線維化に対する機能を解析する。さらにマウス肺線維化モデルを用いたin vivo解析を行い、候補因子の肺線維症への影響を検証する。病態に影響を与える因子が見つかれば、その活性や発現を調節する化合物の探索を行い、特発性肺線維症に対する新規治療薬の創出のためのシーズを見出す。
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