2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウムプラズマ照射によるバンドル状金属ナノ構造の形成機構と核融合炉への影響
Project/Area Number |
22KJ1554
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
ZHANG Rongshi 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | タングステン / ヘリウム / Nano-tendril bundle / 核融合 / プラズマ材料相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度はアルゴン、窒素、ネオンを不純物として添加したヘリウム(He)プラズマをタングステン(W)板に照射することで、構造の異なるNano-tendril Bundle (NTB)をW表面に形成した。NTB試料からの電界電子放出電流を測定することで、NTBの電界電子放出特性とその形状に関する依存性を調査した。その結果、電界電子放出特性はNTBの先端構造と強く依存し、先端構造が丸く形成されている場合、その電界電子放出特性が低くなる傾向をもつことが分かった。 不純物ガスの圧力と割合を変化させることで、NTBと異なる新たな棒状突起構造の形成を発見した。棒状構造の表面構造や高さは添加された不純物ガス種により異なることが分かった。棒状突起構造の形成メカニズムを調べるため、断面及び面内の結晶方位をそれぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)及び電子後方散乱回折法(EBSD)によって観察した。その結果、内部に空隙の多いバンドル状繊維構造(NTB)と異なり、棒状突起構造は詰まった内部を有することが分かった。このことから、棒状突起構造はNTBと異なるメカニズムによって形成されることが示唆される。EBSDの観察により、比較的小さな棒状突起構造の断面について、内部に単一の結晶方位を持つことが示されたが、より高い典型的な突起構造では構造内に複数の結晶方位を有することが示された。棒状突起構造の大きさによって、その内部の結晶方位特性は異なることが示唆された。このことから、棒状突起構造は上から堆積するW原子によって形成される構造ではなく、基板層が何らかの圧力によって盛り上がることで形成した構造だと考えられる。 研究期間全体を通じて、不純物を添加したHeプラズマ照射により、W表面で形成されるNTBを含めた突起構造の電界電子放出特性を調査した上で、NTBのアーク誘発特性を明らかにし、さらにアークの抑制手法を提案した。
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