2023 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞における網羅的ホスホプロテオミクスに基づく気孔開口の分子機構の解明
Project/Area Number |
22KJ1570
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
深津 孝平 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 植物生理学 / 気孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物に存在する気孔は一対の孔辺細胞からなる孔であり、光などの環境の変化に応答して開閉することで大気とのガス交換を調整している。これまでの研究から気孔の開口にはリン酸化などを介したシグナル伝達や浸透圧の調整が重要であることが示された。私はソラマメの孔辺細胞プロトプラストを材料とした網羅的なホスホプロテオミクスを行い、新規気孔開口関連因子を複数同定した。その中で気孔開口時に浸透圧調整物質として働くリンゴ酸の合成律速酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)や気孔開口のキーエンザイムである細胞膜プロトンポンプの新規リン酸化を見出した。 2023年度はPEPCのキナーゼであるPEPCK1が細胞膜プロトンポンプの下流で遺伝子発現制御されていることを明らかにし、PEPCK1変異体もPEPC変異体と同様に気孔開口の低下を示すことを明らかにした。また、同定した候補の中に葉におけるPEPCのリン酸化レベルの低下傾向を示す候補を見出した。この候補は冗長遺伝子を持っていたため多重変異体の作成を進めた。DC2全体を通して孔辺細胞におけるリンゴ酸合成の分子機構について解析を進め、結果をまとめ日本植物学会第87回大会やThe 33rd International Conference on Arabidopsis Researchなどで発表を行った。 また、ホスホプロテオミクスによって見出した孔辺細胞の細胞膜プロトンポンプの新規リン酸化部位Thr-881のアミノ酸置換形質転換体の気孔表現型解析を進めることで細胞膜プロトンポンプのThr-881のリン酸化が気孔開口に影響を与えることを明らかにした。さらに細胞膜プロトンポンプのThr-881のリン酸化について詳細に解析を進め、得られた結果をもとに論文をまとめNature Communicationsにて発表した。
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