2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating pathogenesis of degenerative myelopathy caused by species-specific aggregation of canine SOD1
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22J15394
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 慶 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 変性性脊髄症 / 筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / タンパク質凝集 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの変性性脊髄症 (DM)の病因タンパク質であるSuperoxide dismutase-1 (SOD1)の疾患変異体E40Kは、DM罹患犬の脊髄運動神経細胞内に凝集体を形成する。この凝集体が神経細胞へ毒性を発揮すると考えられ、凝集抑制はDMの治療標的の1つとされる。 SOD1はヒトの筋萎縮性側索硬化症 (ALS)の病因タンパク質の1つでもあるが、興味深いことにE40K変異はヒトSOD1には凝集を誘導しないことが報告され、追試により確認した。申請者は、このE40K変異による凝集性の種差がイヌおよびヒトSOD1の117番目のアミノ酸残基に依存していることを突き止めた。タンパク質結晶構造解析などのさらなる詳細な検討により、イヌSOD1におけるこの凝集はタンパク質内部の疎水性コアの脆弱性に起因することを明らかにした。以上の研究成果を原著論文にまとめ、投稿中である。 次に、E40K変異体の凝集機序に対応した治療候補薬の効果を検証するためにDMモデルマウスの作製に着手した。ヒトSOD1プロモーターおよびヒトSOD1ゲノムを搭載した既存の発現コンストラクトを利用し、イヌSOD1のエクソンおよびヒトSOD1のイントロンを組み合わせたキメラコンストラクトを作製して培養細胞に導入したところ、イヌSOD1の発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
E40K変異体の凝集機序の1つを明らかにし、研究成果を取りまとめて海外誌へ投稿した。さらに、マウスへの発現用コンストラクトを作製し、培養細胞系でイヌSOD1の発現を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製したコンストラクトを用いてDMモデルマウスを作出、系統化する。さらに、イヌE40K-SOD1TgマウスがDMの病態を再現できているか臨床的および病理学的に解析を行い、疾患モデルとしての妥当性を評価する。具体的には運動麻痺などの表現型および生存期間を主要評価項目とする。また、運動機能評価として ロータロッド試験およびぶら下がり試験を実施する。病理的評価では、特殊染色による軸索変性の程度を、免疫染色を用いてイヌ変異SOD1の凝集や運動神経細胞死、グリア細胞の活性化についても評価を予定する。
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