2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation and manipulation of cognitive performance by pupil and oculomotor responses
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22J15402
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平田 貴士 名古屋大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 滑動性眼球運動 / 物体の運動認知 / 重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,①ヒトの眼に現れる生体反応を指標とした認知状態の評価および,②これらを操作し所望の状態に脳を「変調(modulate)」することを目的としている.2022年度では,運動する物体捕捉時の認知状態の評価に着目し,以下の研究成果を得た.
「重力方向ではなく身体の長軸を基準とした物体の運動方向の認知」 これまでの多くの研究により,ヒトは上昇する物体に比べて落下する物体をより正確に捕捉・追跡できることが報告されている.この知見から,我々は重力方向に移動する物体を落下,その逆方向に移動する物体を上昇する物体として認知している可能性が考えられる.一方で,通常我々は座位や立位の姿勢で上昇・落下する物体を目にすることから,重力方向ではなく自身の身体の長軸を基準に物体の運動方向を認知している可能性も考えられる.このことを確かめるために,2022年度の研究では,実験参加者の身体の長軸に沿って1Gで上昇・落下する刺激(ボール)を座位(重力方向と身体の長軸方向の一致)と仰臥位(両者が不一致)で提示し,2つの実験を実施した.実験1では,上昇・落下する物体がゴールを通過するタイミングの推定精度を評価した.実験2では,上昇・落下する物体追跡時に発生する滑動性眼球運動(SPEM)の精度を評価した.実験の結果,姿勢にかかわらず上昇する物体に比べて落下する物体のタイミング推定およびSPEMは,上昇する物体に比べて精度が高いことが示された.本年度の研究成果は,我々は落下する物体を地上の重力方向ではなく,自身の身体の長軸を参照して認知していることを示唆する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,本研究用の行動実験環境の整備を終え,2つの実験を実施することができた.また,次年度の研究に向けた予備実験を開始することができた.初年度の研究成果は,2022年10月に開催された国内学会(電子情報通信学会 HIP)および11月に開催された国際学会(Society for Neuro Science @ US)において発表することができた.これらの進捗を鑑み,「おおむね順調に進展している」ものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では,ヒトを対象とした行動実験(視線計測実験)により,本研究課題の目的②である,眼球運動の操作による認知状態の変調の可能性について明らかにする.実験では,物体追跡時に発生するSPEMやSaccade運動を操作するための視覚刺激を提示し,操作有無における運動する物体に対するタイミング予測や捕捉運動の精度を評価する.
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Research Products
(2 results)