2023 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ラセン記憶型星型ポリマーの合成と革新的スイッチングキラルマテリアルへの応用
Project/Area Number |
22KJ1577
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥田 省吾 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | キラリティ / ポリアセチレン / らせん誘起 / らせん記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生体系にみられる機能の人工的な発現を目指して、ラセン構造を形成する高分子の合成とその性質に関する研究が世界中で活発に行われている。しかし、人工ラセン高分子の触媒、認識、情報等に関連する機能レベルは、ラセン集合系を操る生体系に遠く及ばないのが現状である。申請者の研究グループではこれまでに、側鎖にビフェニル基を有する光学不活性なポリアセチレン誘導体が光学活性化合物のキラリティに応答して一方向巻きらせん構造を形成し(らせん誘起)、光学活性化合物を除去した後も、誘起されたらせん構造を記憶として安定に保持できること(らせん記憶)を見出している。今年度は、一方向巻きらせんポリマーを簡便かつ効率的に合成する手法として、光学活性なゲスト化合物存在下、ビフェニルイルアセチレン (BPA) モノマーの重合を行うことで、ポリマー主鎖に一方向巻きらせん構造が誘起・記憶されながら成長反応が進行する「らせん選択記憶重合」の開発について検討を行い、以下の成果を得た。 カルボキシ基及びアミノ基を有するBPAモノマーを新規に設計、合成し、対応する光学活性ゲスト存在下、ロジウム触媒を用いて水中で重合を行ったところ、1時間程度でほぼ完全に一方向巻きに片寄ったらせん記憶ポリマーを得ることに成功した。一方で、予め合成した光学不活性なポリマーに一方向巻きのらせん構造を後から誘起することもできるが、その場合にはより長い時間を要した。すなわち、らせん選択記憶重合を用いることで、従来の光学不活性ポリマーへのらせん誘起と記憶の手法と比較して、超高速で一方向巻きらせんポリマーを定量的に合成可能な手法の開発に成功した。
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