2023 Fiscal Year Annual Research Report
現代的な星形成理論構築に向けた、分子雲におけるフィラメント構造の進化過程の研究
Project/Area Number |
22KJ1588
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安部 大晟 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 星形成 / 磁気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
星形成は、分子ガスの圧力と磁場で支えきれないほど重く、自己重力的に不安定な状態にあるフィラメント内で起こる。重力収縮を起こすときのフィラメントの線密度はフィラメントを貫く磁束、ひいては幅に依存するので、フィラメントの幅は星形成開始条件を決める重要な物理量の一つである。観測されるフィラメントの幅は、質量によらず普遍的に0.1 pcであるが、従来のシミュレーションはこれを説明できていない。フィラメントの幅が0.1 pcであることを説明するにはフィラメントを重力から支える機構が必要であるが、誰もその機構を見つけることができていない。フィラメント進化過程ではガスと磁場の結合が破れる両極性拡散が起こるため、これをシミュレーションに取り入れた。 現実的なフィラメント進化過程を解明することを目的とし、国立天文台のスーパーコンピュータを用いた大規模磁気流体シミュレーションにより研究を行った。使用するコードはこれまでにも利用してきた自己重力入りの磁気流体コードであるAthena++を用いた。 フィラメントの幅を0.1 pc に保つ候補機構としてフィラメント内に駆動された乱流の動圧がある。フィラメントの進化過程ではフィラメントへのガス降着が起こっており、降着流がフィラメントにぶつかるところで「遅い磁気流体衝撃波」を立てると考えられる。遅い磁気流体衝撃波面は不安定であり、この不安定性がフィラメント内部に乱流を駆動してフィラメントの幅を保つのに必要な乱流圧を与えうることをシミュレーションにより示した。この結果は2本の論文としてまとめ,一本は出版されもう一本は執筆中である.
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