2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of High-Performance and Real-time Biosensing Technologies Using Surface Functionalized Nanocarbon Materials
Project/Area Number |
22J23113
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松永 優希 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 薄膜トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞培養で使用される培養液はリン酸緩衝液をはじめとする電解質を豊富に含むため、電極およびチャネル部分の半導体カーボンナノチューブ(CNT)はアルミナなどの絶縁膜によって表面を保護し、夾雑物による溶液間での電流のリークを避ける必要がある。デバイス作製プロセスにおける酸化膜形成は高温環境で行われるが、半導体CNTに対するドーピング手法において特にp型ドーピング手法は熱安定性に乏しく、酸化膜形成過程でドーピングの効果を失ってしまう問題があった。そこで本年度では、細胞培養と電気特性評価を同一基板上で行うための半導体CNT薄膜トランジスタを作製した。まずは最初に、半導体CNTに対するp型ドーピング手法とその表面保護膜形成手法の開発を中心に取り組んだ。CNTの仕事関数と有機分子のHOMO/LUMOの関係を踏まえつつ網羅的に探索を行った結果、HATCN(1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylenehexacarbonitrile)がCNTに対して200℃まで有効なドーパントであることを見出すことができた。薄膜トランジスタを作製して200℃に加熱しデバイスの特性変化を調べたところ、加熱時間が長くなるにつれてキャリア移動度とON電流密度の向上を確認することができた。その後、保護膜の成膜方法について検討を行った結果、パリレンとアルミナ成膜による表面保護膜形成手法を開発することに成功した。本手法では、パリレンがHATCN膜の酸化と真空中での揮発を防ぐことで、p型ドーピングの効果を失わずにアルミナ膜を成膜することが可能になる。この2重構造により表面を保護したデバイスは酸素分子と水分子の透過を防ぐことがトランジスタの伝達特性から明らかになっており、任意の化学ドーパントに対する保護膜形成手法を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温度耐性に優れたn型ドーピング手法とこれまでに開発したp型ドーピング手法を組み合わせたデバイス作製プロセスの構築を進めることができている。今後は事前計画を踏まえつつ、今回見出した高温安定なドーパントを用いてp型・n型ドーピングを半導体CNTチャネル上で接合させるpn接合ダイオードやCMOS回路の作製が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養における培養液中のpH変化は細胞の増殖数を左右する重要なパラメータであることから、今後はこれまで培ってきたデバイス作製プロセスを駆使したpHセンサの開発を計画している。具体的には、プロトンの吸脱着によって導電性が変化する導電性ポリマーのスルホン化ポリアニリンをCNT薄膜トランジスタと組み合わせることで、pH変化に応じた電流値変化を読み取るセンサを作製する予定である。
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Research Products
(4 results)