2023 Fiscal Year Annual Research Report
赤外分光を用いた酵素型ロドプシンの光反応ダイナミクス解明
Project/Area Number |
22KJ1620
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉浦 雅大 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 酵素ロドプシン / 赤外分光 / 微生物ロドプシン / 異性化反応 / レチナール |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ十数年における世界のロドプシン研究は、指数関数的な発展を見せており、最近では多数の酵素ロドプシン(光活性化酵素)が発見されている。我々はそれら酵素ロドプシンの作動メカニズムに迫るべく、大腸菌および哺乳類細胞のみならず、新たに昆虫細胞・酵母細胞を用いた試料調製を行うことでロドプシンの常識を覆す結果を得た。 ①酵素ロドプシンは、光を感受する膜内ドメインと、触媒反応を担う酵素ドメインから構成されており、膜内ドメインが直接、酵素ドメインの反応を制御している点が他のロドプシンとは異なるため、その光活性化メカニズムが興味深い。そこで、分子振動変化を捉えることが可能な赤外分光法を用いて、光活性化グアニル酸シクラーゼ(Rh-GC)の光誘起されたタンパク質の変化を捉えた。現在データを追加して論文を作成中である。 ②ロドプシンはレチナールという単一の発色団を持つにも関わらず、紫から赤色に至る広範な吸収波長多様性がある。これまでに、吸収波長を制御する3つのアミノ酸残基が知られていたが、昨年7月に酵素ロドプシンから発見された4つ目となる波長制御残基を同定し、米国化学会誌に報告した。 ③微生物ロドプシンの持つレチナール(発色団)は全トランスから13シスへの光異性化が常識であったが、2020年に報告された新奇酵素ロドプシン(NeoR)の光反応を調べると、全トランスから7シスへの光異性化を示した。また、一般的な微生物ロドプシンは液体窒素温度において光反応を示すが、NeoR中では水が氷る温度において光反応を起こさないことを明らかにし、2022年10月に米国化学会に報告した。 上記3つのトピックに加え、ベストロドプシン(2022年に報告)やカリウム選択的チャネルロドプシン(2023年に報告)と呼ばれる新たな微生物ロドプシンの分子メカニズム解明にも取り組み、ロドプシン研究の発展にも貢献できたと考えている。
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Remarks |
●日本蛋白質科学会ポスター賞 名古屋 令和5年7月7日●オプトロニクス社オンラインニュース記事に掲載●女子中高生夏の学校2023~科学・技術・人との出会い~, 2023年8月5-7日●実験医学, 2023年9月号 Vol.41 No.14●若手の会だより, 生物物理 63(6),338-339(2023)●ドクター交流会,名古屋工業大学(依頼講演)●学長表彰,名古屋工業大学,2024年3月18日
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Unusual photochemical properties of near-infrared light-absorbing enzymerhodopsins (NeoRs)2023
Author(s)
17.Masahiro Sugiura, Kazuki Ishikawa, Kota Katayama, Yuji Sumii, Ritsu Mizutori, Rei Abe-Yoshizumi, Satoshi Tsunoda, Yuji Furutani, Norio Shibata, Leonid S. Brown, Hideki Kandori
Organizer
第23回日本蛋白質科学年会
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[Presentation] 近赤外光吸収酵素ロドプシンの特異な光化学特性2023
Author(s)
杉浦雅大, 水鳥律, 石川和季, 片山耕大, 住井裕司, 吉住玲, 角田聡, 古谷祐詞, 柴田哲男, Leonid S. Brown, 神取秀樹
Organizer
第3回 高速分子動画 若手オンラインセミナー
Invited
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[Presentation] 新奇微生物ロドプシンの光反応メカニズム解明2023
Author(s)
杉浦雅大, 水鳥律, 石川和季, 片山耕大, 住井裕司, 吉住玲, 角田聡, 古谷祐詞, 柴田哲男, Leonid S. Brown, 神取秀樹
Organizer
【CRESTオプトバイオ】光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用 第8回領域会議
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[Presentation] 近赤外光吸収酵素ロドプシンが示す特異な光化学反応2023
Author(s)
Masahiro Sugiura, Ritsu Mizutori, Kazuki Ishikawa, Kota Katayama, Yuji Sumii, Rei Abe-Yoshizumi, Satoshi Tsunoda, Yuji Furutani, Norio Shibata, Leonid S. Brown, Hideki Kandori
Organizer
第63回 生物物理若手の会夏の学校 ~生物物理の新展開~
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[Presentation] Unique photochemical properties of near-infrared light absorbing rhodopsins (NeoRs)2023
Author(s)
Masahiro Sugiura, Ritsu Mizutori, Kazuki Ishikawa, Kota Katayama, Yuji Sumii, Rei Abe-Yoshizumi, Satoshi Tsunoda, Yuji Furutani, Norio Shibata, Leonid S. Brown, Hideki Kandori
Organizer
Structure, Function and Dynamics (SFD) International Conference 2023
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[Presentation] Unique photochemical reactions in near-infrared light absorbing rhodopsins2023
Author(s)
Masahiro Sugiura, Ritsu Mizutori, Kazuki Ishikawa, Kota Katayama, Yuji Sumii, Rei Abe-Yoshizumi, Satoshi Tsunoda, Yuji Furutani, Norio Shibata, Leonid S. Brown, Hideki Kandori
Organizer
The 61th Annual Meeting of the Biophysical Society of Japan
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