2021 Fiscal Year Annual Research Report
CMB望遠鏡群Simons Observatoryで探る原始重力波
Project/Area Number |
21J00465
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清野 結大 京都大学, 京都大学理学系研究科, 特別研究員(CPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2026-03-31
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Keywords | CMB / 宇宙背景放射 / インフレーション / 原始重力波 / 超伝導検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では宇宙背景マイクロ波放射(CMB)の精密観測による、原始重力波やニュートリノ質量和の観測に挑む。これらの物理情報はCMBの偏光や強度の分布に反映されるため、私は望遠鏡群によるCMB観測実験Simons Observatoryに参加し、CMBを精密測定する。観測で重要となるのは検出器の較正である。用いられる超伝導光検出器は光の偏光や強度に感度をもつが、応答が天候や望遠鏡向きなどで敏感に変化するため、観測中の較正が必要不可欠となる。 本年度はSimons Observatory実験と、その前身の実験のSimons Array実験に参加し、較正装置の開発に着手した。検出器の偏光感度を較正するため、直線偏光の光を生成する装置を開発した。光の偏光度が悪さがこれまで問題であったが、シミュレーションによる偏光度の見積りを初めて行い、原因を突き止めた。今後はシミュレーションによる観測データの補正に取り組めば、目標までの較正精度向上が見込まれる。 さらに超伝導検出器のゲイン較正装置の開発にも着手した。高温のヒータから出る黒体放射を光源とした較正装置で、2000RPMもの高速回転をするチョッパーも有する。装置の基本設計や動作・測定用のエレクトロニクスのR&Dを目標とし、プロトタイプ機の作成に取り組んだ。装置の動作試験などを通し、必要な各技術を確立した。これをもとに望遠鏡に搭載する実機も設計し、現在組立を行っている。今後はこの実機の動作試験を行い、2022年度中に望遠鏡に搭載し較正を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度である今年度から、Simons Observatory実験とSimons Array実験に加入した。コロナ禍で対面での共同研究の機会が制限されてはいるが、国内・国外のメンバーとwebミーティングなどでコミュニケーションを深め、円滑に研究をスタートさせている。予定通り較正装置開発を行い、プロトタイプ機の開発を完了させた。さらに実機の作成も計画通り進行しており、本研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
国内・米国の研究機関と連携をとり、検出器のゲイン較正装置の開発を行う。較正装置やその制御系エレクトロニクスを作成し、動作試験を実施する。また検出器を開発している米国プリンストン大学にて、実際に検出器較正を行い性能を確かめる。また検出器の偏光感度向上に向け、シミュレーションをベースに観測データの補正手法の開発に取り組む。 自身は学振CPDの3年間の海外渡航としてプリンストン大学で研究を始める。較正装置の開発に加え、実験グループ内で中核をなすプリンストン大学のCMBデータ解析チームに加わり、CMBマップ作成に参加する。
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