2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Evaluation Method of Structural Performance of RC Buildings Considering Behavior during Earthquakes
Project/Area Number |
21J20183
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 諒 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 耐震壁 / 矩形断面 / 水平二方向加力 / 変動軸力 / せん断破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート造建物には三次元的な地震波が入力される。この時,鉄筋コンクリート造耐震壁部材には面外方向変形が発生し,さらに梁のせん断力および転倒モーメントによる変動軸力が同時に入力される。このような三次元的な地震力が耐震壁の構造性能に及ぼす影響に関する研究は過去に多く行われているが,これらの研究は主に端部に柱型を有する,いわゆるI型断面耐震壁に対するものが主となっており,両端に柱型を有しない,いわゆる矩形断面耐震壁に対する検討はほとんど行われていない。 本年度は矩形断面耐震壁の構造性能に,三方向載荷条件が及ぼす影響の検討を目的として30%スケールの縮小試験体に対する部材載荷実験を行った。本試験体は面内一方向加力時にはせん断破壊が先行するように設計した。実験変数は,面内方向変形量に対する面外方向変形量の比と軸力条件である。一定軸力下で面内一方向加力を行った試験体(SR00-C20)は設計時の想定通りせん断破壊が先行した。一定軸力下で面外方向に面内方向の3倍の変形を与えた水平二方向加力試験体(SR30-C20)もSR00-C20と同様にせん断破壊が先行し,面内方向最大耐力をコンクリート圧縮強度の平方根で除した値がSR00-C20と比べ6%低下した。一方,変動軸力下で面外方向に面内方向の3倍の変形を与えた水平二方向加力試験体(SR30-C20T33)は脚部すべり挙動が支配的となり,面内方向最大耐力をコンクリート圧縮強度の平方根で除した値はSR00-C20と比べ26%,SR30-C20と比べ12%低下した。 本年度は以上の載荷実験に加え,昨年度実施した載荷実験の追加検討も行った。面外方向せん断スパンが面内方向の構造性能に及ぼす影響の検討を行った。三方向載荷条件を考慮した面内方向せん断耐力評価手法を提案し,実験結果を良好な精度で評価する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる令和3年度は8月頃に,三方向載荷条件を実験変数とする矩形断面耐震壁部材試験体の載荷実験を当初の予定通り実施した。実験結果として,面外方向変形による面内方向のせん断耐力の低下を確認し,これは既往の研究で見られた傾向と一致した。また,引張軸力を伴う軸力変動を受けることによって破壊モードが脚部すべり破壊に変化することを確認した。ただし,当初の想定と異なり,試験体間でコンクリート圧縮強度にばらつきが見られた。現在はその影響について検討を行うため,有限要素解析モデルを作成中である。 また,本年度は以上の載荷実験に加え,昨年度までに実施した載荷実験の追加検討を行った。実験結果を良好な精度で追跡できることを確認した有限要素解析モデルを用い,パラメトリックスタディを行うことで,これまで未解明であった面外方向せん断スパンの面内方向の構造性能への影響について,明らかとすることができた。また,この結果を踏まえ,三方向載荷条件を考慮した面内方向せん断耐力評価手法を検討し,実験結果を良好な精度で評価する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる令和4年度は本年度に実施した実験について,その実験結果を良好な精度で追跡できる有限要素解析モデルを作成し,コンクリート圧縮強度のばらつきの影響を排除した検討を行う予定である。この検討結果を踏まえ,本年度までに提案した三方向載荷条件を考慮したせん断耐力評価手法の矩形断面耐震壁への適用可能性の検討および修正改良等を行う予定である。 また,本年度の実験とは別に,脚部すべり挙動が支配的な耐震壁部材試験体に対する三次元載荷実験を新たに行い,その挙動や構造性能について検討を行う予定である。試験体は面内方向および面外方向それぞれに一方向載荷を行った場合には,面内方向では脚部すべり破壊,面外方向では曲げ降伏がそれぞれ先行するような設計とする。実験パラメータは面外方向変形量および軸力条件の三方向載荷条件とし,合計3体の試験体に対して載荷を行う。1体は一定軸力下で面内一方向加力を行う基準試験体である。これに加え,一定軸力下で水平二方向加力を行う試験体と,変動軸力下で水平二方向加力を行う試験体をそれぞれ1体ずつとする。本実験を通じて,三方向載荷条件が脚部すべり耐力に及ぼす影響について,その評価手法を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)