2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J20203
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井森 隼人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 特異インスタントン / 同変Floerホモロジー / ホモロジー同境群 / 結び目コンコーダンス群 / Rasmussen型不変量 / 負定値コボルディズム / インスタントン・モジュライ空間 / 可約接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き, 共同研究者(Aliakbar Daemi氏, 佐藤光樹氏, Christopher Scaduto氏, 谷口正樹氏)と共に、特異インスタントンフレアー理論によって定義される, 各種の結び目コンコーダンス不変量を, 同変理論の観点から統一的に整備する研究を行った. 特に, ゲージ理論におけるRasmussen型不変量の同変理論による再定式化が得られた. 加えて, 結び目符号関数のゲージ理論的精密化を与え, 結び目コンコーダンス補空間の基本群の既約SU(2)表現の存在性に関する応用も得られた.本研究に関しては,海外の研究集会における発表等を通じて, 複数の研究者からフィードバックを得ることができ,研究の質的向上につながった. 本研究成果はプレプリントがarXivに公開されており,現在学術誌への投稿を完了し,査読を受けている. また同変フレアー理論において, 負定値コボルディズムにより誘導される準同型写像の一般化の問題についても, 前年度までに得られた知見を基に, 研究を継続した. 本研究においては, 高次元のインスタントン・モジュライ空間に生じる可約接続の寄与を,同変フレアー理論に反映させることを目的としている. 当初予定していた手法に基づく計画では,技術的困難が生じることから, 可約接続の近傍において, コンパクト化されたモジュライ空間の局所構造を記述し, ある種のコホモロジー類の評価を得るという方針を採用した. この研究課題については, 海外渡航を通じて集中的な議論を行い, ある種の制限された仮定の下で, 一般化されたコボルディズム写像が満たす代数的関係式に関する予想が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同変フレアー理論の特異インスタントンを用いる変種に対しては,共同研究により, 当初の予想を超える応用面での成果が得られ, インスタントンFloer理論によって定義される,多くの結び目コンコーダンス不変量やホモロジー同境不変量を, 統一的に扱う代数的的枠組みを提示することができた.また位相的応用に関しても, 昨年度に引き続き, 多くの結果が得られた. 一方で, 負定値コボルディズムに対する高次元モジュライ空間の端の局所構造の記述により, あるコホモロジー類の評価を得ることを目標としていたが, このような局所構造の記述に関わる問題は本年度は未完成となった.
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Strategy for Future Research Activity |
負定値コボルディズムに付随する,コンパクト化された高次元モジュライ空間の可約接続近傍の局所構造の記述が未完成となっており, 当面はこの局所構造の記述に注力する. また,これまでの研究で特異インスタントン由来の強力な結び目コンコーダンス不変量が得られたが, 計算可能な例が限られており, 不変量の計算手法の開発も必要であると考えている.
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