2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1665
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井森 隼人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 特異インスタントンFloer理論 / SO(3)-同変理論 / S^1-同変理論 / ホモロジー同境不変量 / 結び目コンコーダンス不変量 / 手術完全三角列 / Heegaard Floer理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元ホモロジー球面に対する位相不変量は, SO(3)-同変インスタントンFloer理論により実現される. 前年度までの研究により, S^1-同変理論に基づく結び目コンコーダンス不変量の構成と, 位相的応用が得られていた. 最終年度は, SO(3)-同変理論から導かれるホモロジー同境不変量と, S^1-同変理論から導かれる結び目コンコーダンス不変量の間の明示的な関連性を明らかにすべく, 共同研究を遂行した. 手法は, ホモロジー3球面内の結び目に対して定義される, 特異インスタントンFloerホモロジーと, その結び目に沿う±1-手術に対する通常のインスタントンFloerホモロジーを完全三角列によって比較する方法に基づく. 本研究においては, この完全三角列の構成を, ある位相的条件下のもとでSO(3)-同変理論に拡張した. これらの 同変理論の枠組みにより, 整数値コンコーダンス不変量とホモロジー同境不変量を比較する不等式の存在が示唆された. これはHeegaard Floer理論におけるd-不変量とτ-不変量の比較に相当し, 他のFloer理論の範疇では取らえられなかった新規的な関係性であるが, 証明の完遂に向けてさらなる検証が必要であると考えられる. 最後に全期間を通じた研究実績と今後の課題について述べる. 初年度および前年度までの研究により, 特異インスタントンFloer理論由来の結び目コンコーダンス不変量の一般化および, special cycleと呼ばれる統一的理論の整備によるパッケージ化が進行し, 多数の位相的応用につながった. また, 本研究により, Heegaard Floer理論に類する性質が発見された. 最終年度においては, インスタントン理論特有の考察により, 他のFloer理論において未解明であったタイプの関連性が示唆される段階に達したと言える.
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